大地震による四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の事故を想定した愛媛県の防災訓練が30日にあり、離島の住民が小型ボートを使って自衛艦に乗艦する訓練が初めて実施された。
伊方町で震度6強の地震が発生して3号機の原子炉が自動停止し、放射性物質が放出されたとの想定。毎年実施している大規模訓練で、県内外の約2万3000人の参加見込みで行われた。
原発から南へ約12キロ、八幡浜市の離島・大島では、昨年波浪により中止となった海上自衛隊多用途支援艦「げんかい」への乗艦訓練が行われた。岸壁の長さなどから港には接岸できないため、島民らは小型ボートで沖合約500メートルに停泊したげんかいに向かい、はしごを使って乗り込んだ。
市や島民によると、島民約200人のうち約7割が65歳以上の高齢者。訓練には島民8人が参加したが、安全面などからおおむね60歳以下に限られた。訓練に参加した地域おこし協力隊、渡辺繭子さん(29)は「はしごの傾斜が急でお年寄りには厳しいかも。助からないのではないかと不安が募った」と振り返り、港から訓練の様子を見守った漁業、石田文彦さん(73)は「年寄りが参加できないなら訓練にならないのでは。事故が起きたら終わりと諦めている」と嘆いた。
訓練ではほかに大分県への海路避難や携帯電話の通信網を活用した小型無人機「ドローン」での被災状況確認なども実施された。【中川祐一】