ササニシキ発祥の地、宮城県大崎市では今年初めて、ササニシキ系の米の頂点を決める「ささ王」決定戦を行う。台風19号により大きな農業被害を受けたが、市の担当者は「復興の意味も込めて、お米どころとして盛り上げていきたい」と意気込む。
市や農協、県で作るコンソーシアムが主催。全国から出品された「ササニシキ」か「ささ結」のササニシキ系の米について、県古川農業試験場(大崎市)でタンパク質の含有量などを分析して15点までしぼり、来月22日に最終審査。「炊きたて」「冷めた状態」「酢飯のシャリ」の3種類を用意し、審査委員が試食して1位となる「ささ王」を決める。
県古川農業試験場は、2015年に新ブランド米として「ささ結」を開発。あっさりして和食やすし向きのササニシキの味を残しつつ、「ひとめぼれ」を混ぜて、寒さに強く倒れにくいように品種改良した。さらに17年には、山奥に農地を作ってきた江戸時代から続く水管理などが評価され「世界農業遺産」に認定されるなど、大崎市は米などの農業を生かした地域振興に力を入れてきた。
しかし、台風19号では未収穫の米約240ヘクタール分が浸水。収穫期を前にした大豆畑は作付面積の7割にあたる約1300ヘクタールが浸水するなど、多くの被害を受けた。市農林振興課の安部祐輝課長は「こんな時だからこそ、こういうおいしい米があることを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
市では来月1日の「全国すしの日」から12月下旬まで、地元のすし店など約20の飲食店に新米の「ささ結」を使ったメニューを作ってもらう「新米フェア」も開催する。問い合わせは大崎の米「ささ結」ブランドコンソーシアム(0229・23・7090)まで。【竹内麻子】