打倒トランプの筆頭 “中産階級の底辺”の女性議員・ウォーレンの標的はフェイスブック

1年後、トランプ大統領に挑むのは彼女になるのか。
米大統領選の候補者指名争いで、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)の支持率が急上昇している。各社の調査でバイデン前副大統領を抑え、初めてトップに躍り出た。
不動の筆頭候補だったバイデンは、トランプが弾劾追及をうけるウクライナ疑惑の当事者に他ならない。ウクライナ疑惑が報じられるたびにバイデンはダメージを受け続けている。前回の候補者争いでヒラリー・クリントンと競ったサンダースは、最近も心臓発作を起こすなど、高齢からくる健康不安がぬぐえない。
「集会では有権者と携帯電話で記念撮影を行ない、支持を拡大。毎週のように新しい政策を打ち出す彼女の政策ボードには、高額所得者への大増税、法人税の大幅アップなど、左派寄りの政策ばかりがずらりと並ぶ。経済政策以外では、海外派兵の大規模撤退や保護貿易の提唱など、トランプ以上に内向きの政策も目立つ」(外信部デスク)
1949年、オクラホマ州で生まれたウォーレンは「中産階級の底辺」の家庭で育った。父親の心臓発作によって一家は破産寸前に追い込まれ、母親が最低賃金の仕事を余儀なくされるなど、貧困の経験が、経済政策のバックボーンとなっている。
「奨学金制度でジョージ・ワシントン大学に入り、法学者となったウォーレンの研究テーマは破産や貧困問題。08年の金融危機に際して、彼女は銀行や投資家を甘やかした米政府の責任を徹底批判。すると10年にオバマ大統領から消費者金融保護局設立の責任者に指名され、ワシントンへの進出を果たした」(同前)

12年、マサチューセッツ州初の女性上院議員に当選すると、学生ローン、医療改革などの法制化に尽力。着実に党内の支持層を増やしてきた。
彼女の政策ターゲットは大企業、富裕層など、国全体の4割の金融資産をもつとされる「上位1%」だ。
「大統領選に向け、ウォーレンが掲げた目玉政策がGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)といった巨大IT企業の解体。特にフェイスブックを目の敵にしており、ザッカーバーグCEOが『彼女が大統領になれば大規模な訴訟となる』と噛み付くなど、泥沼状態になっている。こうした直情的な政策は左派支持者から喝采を浴びる一方、眉をひそめる中間層も少なくない」(同前)
ITや金融の大企業から200ドルを越える献金は受け取らないと明言するウォーレン。彼女への人気は、はからずも米社会の矛盾を証明している。
(近藤 奈香/週刊文春 2019年10月31日号)