リニア中央新幹線の静岡工区が未着工となっている問題で、国土交通省、静岡県、JR東海の幹部会談が31日、東京・霞が関であり、国交省が主導して三者が参加する新たな会議を設置することで一致した。トンネル掘削による大井川の流量減少対策などで県とJR東海が対立しており、国交省の積極的な関与で事態を打開する。
会談は非公開で約1時間行われた。終了後に取材に応じた江口秀二国交省大臣官房技術審議官は「論点は大分絞られつつあるが、両者で食い違いもあり、中立的な国が入って議論を進めるのが大事だ」と説明。静岡県の難波喬司副知事は「県とJRの合意形成において非常に大きな役割を果たすのではないか」、JR東海の宇野護副社長も「中立・公平な立場で国に見ていただくのは大変意義がある」と歓迎した。
難しい工事となる同工区の本格着工が遅れていることから、JR東海が目指す2027年の開業が危ぶまれており、10月24日には藤田耕三国交事務次官が静岡県庁で川勝平太知事と会い、国が関与を強める方針を伝えていた。【松本惇】