2020年度の大学入学共通テストで活用される英語の民間資格・検定試験の導入延期が決まった。受験に必要な「共通ID」の申込開始日の決定に教育現場の混乱は不可避だが、識者からは「制度には構造的な欠陥があった。ここで踏みとどまって良かった」と延期を評価する声が上がった。
「導入されれば、さらなる混乱となった。採点方法も不透明で、出題ミスの責任も民間に丸投げするのは問題だった」。立教大の鳥飼玖美子名誉教授(英語教育)は「国立大の受験に必要な試験にもかかわらず、制度は構造的な欠陥を抱えていた」と厳しく批判した。
民間試験が導入されても、受験生は問題集を使った安易な対策に追われるだけだと強調。英語でのコミュニケーション能力を磨くという本来の目的にはつながらないとの見方を示した。
教育評論家の尾木直樹さんも「国の制度設計が非常に脆弱(ぜいじゃく)で、なぜ民間試験の導入が必要なのか、政府のビジョンや目的が全く伝わっていなかった」と話した。
ITや人工知能(AI)が発展する中、単純な知識ではなく創造性が重視されると指摘。「国際社会での対話力を磨くことを重視し、文部科学省には広い視野で学力を捉えた教育をしてほしい」と訴えた。