福岡県田川市で昨年11月下旬、1歳4カ月の三男にエアガンでBB弾を多数命中させ、けがをさせたとして両親が傷害容疑で逮捕された事件で、4歳の長男が「パパが撃った」と説明していることが、複数の関係者への取材で明らかになった。三男の全身に見つかったあざは数日間にわたってできたとみられ、県警は父親がエアガンで撃つ虐待を日常的に繰り返していた可能性も視野に調べる。
6日に逮捕されたのは、父親で同市伊加利(いかり)の土木業、常慶(じょうけい)雅則(24)と、母親で無職の藍(24)の両容疑者。2人はいずれも「撃ったことはない」と容疑を否認している。
捜査関係者によると、三男の唯雅(ゆいが)ちゃんにはBB弾によるとみられる直径数ミリのあざが顔面を含めて数十カ所あった。解剖の結果、あざができた時期にばらつきがあり、数日から1週間かけてできた可能性があることが判明。皮下出血の状況から室内で近距離から撃たれたとみられる。県警は幼い長男の目撃証言の信用性を見極めながら、エアガン発射の実行者の特定を進める。
事件は昨年12月1日未明、藍容疑者から「息子が心肺停止状態です」と119番があり、搬送先の病院であざが見つかって発覚した。唯雅ちゃんは同日朝に肺炎で死亡した。県警は2人が虐待の発覚を恐れ、危篤状態に陥るまで医療機関に受診させなかった可能性もあるとみている。
一方、7日に記者会見した田川市によると、両容疑者の次男が2016年6月に乳幼児突然死症候群(SIDS)で死亡したことを受け、若い夫婦を支援する必要があると判断。17年5月、市や県田川児童相談所などの関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会(要対協)が一家を「支援が必要な家庭」と認定したが、「虐待があるという認識はなかった」としている。
同7月の唯雅ちゃん誕生後は、同11月と18年6、7月の少なくとも計3回、自宅や市役所で担当職員が唯雅ちゃんと面会したが、目視で「不審に思う点はなかった」という。18年1月に長男のほっぺたが腫れているとの情報を受け訪問した児相も一家について「問題はない」と判断していた。
会見で田川市の宮崎博士・市民生活部長は「幼い命を救うことができず痛恨の極みだ」と述べた。【柿崎誠、峰下喜之、浅野孝仁】
エアガンによるとされる男児傷害事件の経過 2016年6月19日 次男が乳幼児突然死症候群(SIDS)で死亡
17年5月16日 要保護児童対策地域協議会で一家を支援が必要な家庭と認定
7月22日 三男の常慶唯雅ちゃん誕生 18年1月19日 長男のほっぺたが腫れているとの情報を受け児相が訪問
7月25日 藍容疑者と子供たちが福岡県田川市役所を訪れる。保健師が唯雅ちゃんにあざなどがないことを目視で確認
11月下旬 雅則、藍両容疑者がエアガンでBB弾を発射し、唯雅ちゃんに3週間のけがをさせた疑い
12月1日 未明に藍容疑者が「息子が心肺停止状態」と119番、搬送先で唯雅ちゃんの全身にあざが見つかる。唯雅ちゃんは肺炎で死亡
19年11月6日 福岡県警が両容疑者を傷害容疑で逮捕