滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(39)=同県彦根市=の再審に関し、呼吸器を故意に外していないとする西山さんの自供書を、県警が捜査段階で把握しながら大津地検に提出していなかったことが、関係者への取材で分かった。
関係者によると、自供書は04年7月ごろ作成したもの。西山さんが「仕事に不満を募らせ『もうどうにでもなれ』という思いで被害者に布をかぶせた」「この際、何かが外れる感覚があり、直後に人工呼吸器のアラーム音が鳴ったが放置した」という趣旨の内容を手書きし、県警に提出した。西山さんが任意聴取で初めて「人工呼吸器のチューブを外した」と自白したとされる時期にあたり、その後、逮捕された。
捜査関係者などによると、再審に向けた大津地裁と検察、弁護側の3者協議を進める中で、検察が未提出の捜査記録を県警に求めたところ、自供書が含まれていた。他に、患者が「たん詰まりで死亡した可能性がある」とする医師の報告書もあり、検察側が有罪立証断念に方針転換する一因になったとみられる。
刑事訴訟法では、警察は捜査記録を速やかに検察に提出するよう定めている。県警刑事企画課は「コメントは差し控える」としている。
再審開始を決定した大阪高裁は17年、「チューブを外した」との西山さんの自白調書は誘導で作成された恐れがあると指摘。弁護側が提出した「病死の可能性がある」との医師の意見書を新証拠と認め、「自然死した疑いが生じた」とした。【諸隈美紗稀】