トラック側を捜査へ 京急踏切で衝突、電車脱線 30人死傷

5日午前11時40分ごろ、横浜市神奈川区の京急線神奈川新町-仲木戸間の踏切で、青砥発三崎口行き下り快特電車(8両編成、乗客約500人)が、線路上で13トントラックと衝突。電車の1両目から3両目が脱線し、トラックは大破、炎上した。神奈川県警によると、トラック運転手の本橋道雄さん(67)=千葉県成田市=が死亡。乗客や電車の運転士を含む男女計33人が軽傷を負った。
京浜急行電鉄や目撃者の証言によると、トラックが線路脇の側道から右折して線路内に進入した際に立ち往生し、電車と衝突したとみられる。運転士は「(踏切内の非常事態を知らせる)信号の点滅に気づき、手動で急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しており、県警はトラック側に過失があるとみて、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑を視野に捜査する方針。運輸安全委員会は同日、鉄道事故調査官3人を現地に派遣した。
衝突したのは千葉県香取市の運送会社のトラック。同社によると、死亡した本橋さんは昨年10月に入社。以前は大手運送会社に20年以上勤めたベテラン運転手で、5日は午前4時に香取市を出発、グレープフルーツやレモンを横浜市内から千葉県成田市に運んでいた。1人で走るのは3回目だったが、現場付近は普段通らないルートだったという。関係者は「一番安全なルートを教えたのに、なぜ違う道を通ったのか」と話した。
電車は、1両目がひしゃげたトラックに乗り上げるように脱線。付近の架線柱の一部が倒れ、周囲にはトラックに積まれていた果物が散乱した。トラックが炎上した影響で電車の側面などは黒く焦げ、黒煙が上がった。駆けつけた救急隊員らがブルーシートを張るなどして、けがの程度で治療優先度を判断する「トリアージ」を行うなど、救出作業に当たった。
県警は、現場で救急隊に申し出たが、病院搬送を辞退した人について、負傷者にカウントしていない。