11月9日、天皇陛下の即位を祝う「国民祭典」が皇居前広場で開かれた。
18時10分すぎ、皇居・二重橋近くの石橋に天皇皇后両陛下が姿を見せられ、天皇陛下はグレーのコートを、雅子さまはアイボリーのロングコートをそれぞれお召しになっていた。雅子さまはタートルネックのトップスに、スカーフを合わせられ、しっかり防寒対策をなさっていたようだ。
安倍晋三首相による祝辞などの後、人気アイドルグループ・嵐らが「奉祝曲」を披露した。組曲「Ray of Water」は3部構成で、オーケストラ演奏の第1楽章「海神(かいしん)」、ピアニストの辻井伸行氏が演奏した第2楽章「虹の子ども」、そして第3楽章「Journey to Harmony」で嵐が熱唱した。「君が笑えば 世界は輝く 誰かの幸せが 今を照らす 僕らの よろこびよ 君に 届け」「大丈夫 君と 笑ってゆく 大丈夫 君と 歩いてゆこう」という歌詞の曲を嵐のメンバーが歌い終えると、拍手を送られる雅子さまの目にはうっすらと涙が浮かんでいるようだった。そして雅子さまが陛下に何かを語りかけられた後、一瞬涙をぬぐう仕草を見せられた。
「Ray of Water」という曲名には、水に差し込むまばゆい光、という意味が込められているという。天皇陛下は「水」への強いご関心をお持ちであることで知られる。
天皇陛下は国民祭典でのおことばの中で、水と災害についても述べられた。「即位から約半年、多くの方々から寄せられる気持ちを、うれしく思いながら過ごしています。また、この間、様々な機会に国民の皆さんと直接接し、皆さんの幸せを願う思いを、私たち二人で新たにしてきました」と、雅子さまとの思いであることを強調された後に、台風19号の被害についてお見舞いのお気持ちを示された。
「先月の台風19号を始め、最近の大雨などによる大きな被害に、深く心を痛めています。亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族、被災された方々にお見舞いを申し上げます。寒さが募る中、避難を余儀なくされ、生活再建が容易でない方が、数多くおられることを案じています。復旧が進み、被災された方々が、安心できる生活が一日も早く戻ることを心から願っています」
雅子さまはおことばを述べられる陛下を見つめられながら、その頬には涙が光っているようだった。
今回石橋へお出ましになった両陛下は、比較的近い距離から、ステージと向き合われるような形で奉祝曲に耳を傾けられたのだが、10年前の2009年11月12日に開かれた上皇さまの即位20年をお祝いする国民祭典では、EXILEが奉祝曲を披露し、上皇ご夫妻は二重橋の鉄橋へお出ましになった。この日はとても寒く、高い位置にある鉄橋にお立ちになった上皇ご夫妻が、冷たい風が吹く中で祝賀にお応えになっていたことを思い出す。
雅子さまが感極まったご様子で涙を流されたのは、ご自身のお出ましが増えたことで、国民から「寄せられる気持ち」を直接受け止められ、応援のメッセージとして感じられているからなのだろうか。終盤、万歳三唱が繰り返された場面で、「皇后陛下万歳」という言葉に、思わず戸惑われたような笑顔を浮かべられて、提灯をゆっくりと振られたことも印象に残った。
天皇陛下は、おことばの終わりに「今日は寒い中にもかかわらず、このように、大勢の皆さんが集まり、即位をお祝いいただくことに、深く感謝いたします」と気遣われた。両陛下が退出される時、雅子さまが陛下に何かを話しかけられて、何度か足を止めながら集まった人々へご一緒に手を振られていた。
(佐藤 あさ子)