【エイミー・モーリン】メンタルが強い人、なぜか絶対に「他人の成功」には嫉妬しないワケ フェイスブックにイライラしたら危ない

「良い習慣を身につける前に、悪い習慣をやめるべきだ」。そう説くのはアメリカの人気サイコセラピスト、エイミー・モーリンだ。全米では彼女が書いたブログが評判となり、雑誌『Forbes』に転載されると爆発的な人気を集めたことで知られる。現在ではシリーズとして書籍化されているほどだが、そんな全米1000万人が読んだ「メンタルを強くする心の鍛え方」とはどのようなものなのか。じつはそのヒントは、「13の習慣」をやめることにあった――。今回はそのなかから1つ、ある意外な「やめるべき習慣」を紹介しよう。
プリンストン大学のスーザン・フィスケ博士らが2013年に発表した「人の不幸は蜜の味(Their Pain, Our Pleasure)」という面白い研究がある。
まず被験者に、「お年寄り、麻薬中毒者、学生、医師、弁護士」などの写真を見せる。続いて、それらの人物がさまざまな出来事に遭遇する写真も見せて、その際の被験者の脳の働きを調べた。

注目したのは、どんなシーンを目撃したとき、被験者の脳は「喜ぶ」かだ。
その結果、被験者の脳がもっとも喜びを感じていたのは、「お金持ちそうな医師や弁護士」が、通りがかりのタクシーにバシャッと泥水を浴びせられるなど、「ひどい目にあっているとき」だった! まさに人の不幸は蜜の味、である。
どうやら私たちの脳には、「専門職に携わるお金持ち」の成功をうらやみ、その不幸を喜ぶ習性があるらしい。
つまり人の成功に嫉妬する心理は、もともと人間の脳に備わっているのだ。
Photo by Sam Edwards
だが、それが「思考習慣」として身についてしまうと、あなた自身のメンタルは弱くなってしまう。
ドイツ・ポツダム大学のハンナ・クラスノヴァ博士らは、フェイスブックを閲覧しているうちにネガティブな気分になる人たちがいる理由を明らかにしている。
調査によると、彼らがとくに怒りや嫉妬心を募らせるのは、「友達」が旅行の写真をアップしたとき。「友達」がたくさんのバースデーメッセージをもらったときにも、嫉妬心を抱くという。
「フェイスブックをめぐる嫉妬:ユーザーの人生満足度へのひそかな脅威」というタイトルのこの調査は、フェイスブックで幸せそうな人を見てネガティブな気分になる人は、自分の人生全体への満足度も下がる、と論づけている。なんと恐ろしいことだろう!

あなたにも、こんな黒い感情がちらりとよぎったことはないだろうか。
同僚が成功したら「あいつだけずるい」と感じる?
成功している人がミスをすると、「ざまあみろ」と痛快?
有名人のスキャンダルは「許すべきではない」と正義を振りかざして叩きたくなる?
人の成功に嫉妬することと、人をうらやましいと思うこと。この2つの感情は似て非なるものだ。
「うらやましい」というのは「あなたが持っているものがほしい」という素直な感情だが、誰かの成功への嫉妬は、怒りすら伴うさらに激しい感情。
「私は、あなたが持っているものがほしいし、あなたには持たせたくない!」
Photo by VladGans
一流企業に勤めるダンも、この困った思考習慣に悩まされていた。
彼の住む郊外の街はご近所同士のホームパーティが盛ん。裏庭でのバーベキュー、子どものお誕生日会、さまざまなイベントに家族ぐるみで招待しあうような土地柄だ。
ダンは気さくで社交的、パーティではそつなくふるまう。素敵な家に住み、美しい妻に二人の元気な子どもたち……彼はまさにすべてを手にしているように見える。
でも、ダンには秘密があった。実はパーティがいやで仕方がないのだ。

ご近所さんは皆、似たような暮らしぶりで、いわゆる「いい会社」に勤務し、成功している人が多い。よってパーティの話題は、マイケルの昇進だの、ビルの新車だのの話になる。
ところがダンは、ご近所さんが豪華旅行をしたり、子どもに高価なおもちゃを買う余裕があるとむかむかする。数年前に妻が専業主婦になってから、家計が苦しいのだ。
家計を管理しているのはダン。「みんなが持ってる物を自慢するから、ぼくも持たないわけにはいかないだろ?」とお金持ちのふりを続けているせいでカードローンがかさんでいるが、その深刻さを妻にすら内緒にしている。
家でも外でも「我が家もみなさんに負けず劣らず裕福ですよ。ぼくはちゃんと成功しています」というお芝居を続けなくちゃいけない。赤字を埋め合わせようと限界まで残業してお金を稼いでいるために、疲労とストレスもたまっている。
やがてダンは、仕事だろうとプライベートだろうと、誰かの「うまくいっている話」を聞くと嫉妬のあまり怒りすら覚えるようになった。
「うちが贅沢をできないのに、あのうちだけ楽しんでいるのはずるい」と。

人の成功に嫉妬すると、次のような問題をもたらしかねない。
〇他人の成功に気を取られて、自分の成功のために努力する時間がなくなる。
〇嫉妬している誰かが持っている何かを手に入れても、成功している人は次々と現れるから、永遠に満足できない。
〇誰かの才能が消えることを祈ったところで、自分の才能が磨かれるわけではないから、自分のスキルや才能を見落とす。
〇嫉妬を隠し、愛想笑いをしながら皮肉を言ったりするから、人間関係がこわれる。
〇相手の成功と張り合おうとして、最初は自慢、やがて嘘で自分を飾るようになる。
〇「あなたよりもすごい!」とアピールして自分の価値を示そうとするが、価値は逆に減る。
「恨みとは、毒を飲んでおきながら、その毒で相手が死ぬのを願うようなもの」
このネルソン・マンデラの言葉どおり、人の成功に嫉妬すると、自らのメンタルを弱めてしまう。
誰かの成功に嫉妬していると気づいたら、次のような方法で考え方を変えよう。
1、人と比べない。自分を他人と比べるのは、リンゴをみかんと比べるようなもの。誰もがユニークな才能、スキル、経験を持っている。人と比べたところで自分の価値を正確にはかることはできない。
2、自分の弱点にこだわらない。自分にないもの・できないことに目を向けていると、持っている人たちに嫉妬してしまう。自分の弱みではなく強みやスキルに目を向けよう。
3、人の強みを誇張しない。嫉妬はたいてい、他人の活躍を誇張し、他人が持っているものを重視しすぎることから生まれる。たとえ成功者であっても。人はみな弱点や不安、問題を抱えている。
4、人の成功をばかにしない。誰かの成功をけなしても、逆に嫉妬心が芽生えるだけ。「あいつの昇進なんて大したことない。仕事はできないけど上司と仲がいいだけさ」などと言ったり思ったりしないこと。
5、何が公平か、判断しない。残念ながら、世の中は不公平なもので、ズルをして成功する人も、運だけでうまくやる人もいる。誰が成功するにふさわしく、誰がふさわしくしないのか、考えれば考えるほど、自分が成功するために使う時間がなくなる!

「人の成功に嫉妬する習慣」をやめてメンタルを強くしたいなら、「自分の成功を定義する」ことが大切だ。自分が求めているものがわからないと、他人の成功に嫉妬しやすい。
うまくやっている誰かに嫉妬したら、「この人みたいになることが自分の幸せなのか?」と自問しよう。
仮にあなたが活躍しているアスリートに嫉妬しているとしよう。あなたは本当に朝から12時間もトレーニングがしたい? 厳しい食事制限もへっちゃら? 年々衰えていく運動能力におびえながら、プライベートを犠牲にしても競技に勝つのがあなたの幸せ?
アスリートほど極端でないにせよ、運だけでちゃっかり成功しているように見える同僚だって、時間とお金をかけて必死で努力しているかもしれないのだ。
ダンのケースでいえば、彼がご近所さんの成功に嫉妬するのをやめるためには、まず立ち止まって自分の人生を評価する必要があった。
ダンが自分の「成功の定義」を明らかにしてみると、家族との時間をもち、自分の価値観に従った子育てをすることだとわかった。ずっと嫉妬していたけれど、彼にとっての成功は、昇進でも新車でもなかったのだ。
photo by ParkerDeen
成功をちゃんと定義すると、自分に言い聞かせることができた。「ご近所がどんなに恵まれていても、ぼくが目標を達成する妨げにはならない」と。

あなたにとっての「成功の定義」を書きとめよう。そして、その人なりの成功の定義を満たそうと努力している誰かに嫉妬しそうになったら、自分の「成功の定義」を思い出そう。
成功への道は人それぞれ。自分の旅はユニークなのだ、と気づくことが大切だ。