【目黒女児虐待死、母親被告人質問詳報】(2)「夫から毎日長時間説教」異様な支配、反省示すため自傷行為も

詳報(1)は
《東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待を受けて死亡したとされる事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判の被告人質問が続いている。
8歳年上で、頼れる夫の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪などで起訴=と出会い、幸せな家庭を築くはずだった優里被告。しかし、雄大被告は結婚直後から、事あるごとに優里被告に対して「説教」を始めたという》
弁護人「平成28年4月に入籍して、雄大さんが変わったことはありますか。あなたに説教するようになったのはいつですか」
優里被告「説教だと認識するようになったのは入籍した頃からです」
弁護人「どんなことを説教するんですか」
優里被告「私の性格が悪い、私の行動や発言、全てが怒られます」
弁護人「怒られているのに最初は説教と思わなかったんですか」
優里被告「雄大に『お前のために言っている』と言われていたので、私のために怒っていると思っていました」
弁護人「説教は日常的にありましたか」
優里被告「はい」
弁護人「どのくらいの頻度ですか」
優里被告「私の感覚では、入籍直後は毎日です」
弁護人「1回でどれくらいの時間するんですか」
優里被告「早くても1時間、長いと昼に始まって夜になることもありました」
弁護人「内容はあなたの生活のことだけではなくて、結愛さんへのしつけや生活ぶりに話が及んでいったのはいつからですか」
優里被告「入籍してから言われるようになりました」
弁護人「どこがだめだと言うんですか」
優里被告「最初は、あいさつができないこと」
弁護人「それは結愛さんの問題と同時にあなたの問題でもあると」
優里被告「はい」
弁護人「納得しましたか」
優里被告「しませんでした」
弁護人「反論はしましたか」
優里被告「しました」
弁護人「反論するとどうなりますか」
優里被告「言い返すと、『育児もろくにできないくせに口出ししてくんな』と言われました」
弁護人「反論して、雄大さんが納得して終わることはありましたか」
優里被告「大体長引きます」
弁護人「長くなるから、もう分かったという風に切り上げようとするとどうなりましたか」
優里被告「そのことについても言われます」
弁護人「雄大さんから『ハラオチ』していないと言われたことはありませんか」
優里被告「あります」
弁護人「どういう意味ですか」
優里被告「本当に納得していないということです。雄大に説教されたことで、もう一度同じミスをしたときに『お前はハラオチしていないから同じことを繰り返す』と言われます」
弁護人「雄大さんに納得させるために取った行動はありましたか」
優里被告「何度も反省しました」
弁護人「何度も反省して、何度も説教される。それで雄大さんに言われたことをメモにしだしたのはいつごろからですか」
優里被告「(28年12月に)1回目に結愛が(児童相談所に)保護された次の日からです」
弁護人「雄大さんに言われたことをメモにして送っていましたが、雄大さんはそれで納得してくれましたか」
《最初は雄大被告に説教されて抵抗していた優里被告も、次第に抵抗しなくなっていく様子が語られる。雄大被告の要求はエスカレートし、優里被告の行動もエスカレートしていく》
優里被告「毎日説教され、『ごめんなさい』と言っても雄大が慣れたのか『反省をもっと違う態度で示せ』と言われました」
弁護人「あなたはどんな態度で示しましたか」
優里被告「何回言っても許してくれないので、自分を傷つければ分かってくれるかなと思って、自分の髪の毛を引っ張ったり、太ももを次の日に真っ黒になるまで叩いたり、自分の顔を叩いたりということを見せました」
弁護人「説教はどういう状況で受けるんですか」
優里被告「立っているときと正座しているときがあります。雄大から目をそらすと怒られるので、正しい姿勢でいました」
弁護人「雄大さんはあなたに感謝の気持ちを示せと言いましたか」
優里被告「『俺は仕事で忙しいのにお前たちのためを思ってやっているんだからありがたいと思え』と言われていたので、「あなたの貴重な時間を使って怒ってくれてありがとうございました』と反省文をLINEで送っていました」
《質問は雄大被告の言葉の暴力から、実際の暴力へと移り、それは結愛ちゃんへも向けられていく》
弁護人「結愛さんにも同じことをさせましたか」
優里被告「香川県に住んでいる時に2回ほどありました」
弁護人「反省文を書かせていた」
優里被告「はい」
弁護人「どうして怒られたのか文章を書け、謝罪しろ、と」
優里被告「そうです」
弁護人「あなたへの暴力はあったんですか」
優里被告「暴力ってほどのことは…」
《言いよどむ優里被告。しかし実際には暴行を受けていたという》
弁護人「どういうことがありましたか」
優里被告「頭を叩かれたり、あごというかほっぺたというかを捕まれて、頭を上下に揺らされたりはしました」
弁護人「ほかには」
優里被告「鼻や耳はあります」
弁護人「鼻をつまんだり、耳を引っ張られたりした」
優里被告「はい」
弁護人「どんなときにされるんですか」
優里被告「説教が終わったときに『俺の意見に納得したのか』ってあごをつかまれて揺さぶられる。それでしゃべれないので、何回もうなずいたんですが、『本当に分かったのか』と何回も確認されて…」
弁護人「結愛さんの前でされたことは」
優里被告「見ていたこともあります」
弁護人「どんな状況ですか」
優里被告「大体は、一緒に説教されるんですけど、そのときに雄大が私を怒っているのは結愛が見ていました」
弁護人「結婚後しばらくは結愛さんへの暴行はなかったんですよね」
優里被告「はい」
弁護人「初めての暴行は」
優里被告「1回目の保護の1カ月ぐらい前です」
弁護人「28年の11月ごろ、どういう暴行ですか」
優里被告「結愛の…」
《雄大被告の暴行を思い出し、涙で言葉に詰まる優里被告。絞り出すように話す》
優里被告「おなかを蹴っていました」
弁護人「あなたの目の前で」
優里被告「はい」
《雄大被告の家族に対する異様な支配の実態が優里被告の口から明らかになっていく》
=に続く