「ポスト安倍」へ正念場続く=岸田氏、幹事長昇格かなわず-自民三役人事

「ポスト安倍」を目指す自民党の岸田文雄政調会長は足場固めのため、11日の党役員人事で幹事長への昇格を期待していたが、政調会長続投となり、その芽は消えた。
総裁への道は依然険しく、正念場が続きそうだ。
「宏池会(岸田派)の基本的な姿勢は、『寛容と忍耐』『信頼と合意』といった歴代宏池会内閣のキャッチフレーズとして示してきた。新しい時代でも大切にしなければならない」。岸田氏は4日、山梨県山中湖村のホテルで開いた同派研修会でこう語り、「岸田政権」樹立に意欲をにじませた。
7月の参院選で岸田派は現職4人が落選し、党内では「岸田氏では選挙の顔にならない」(細田派中堅)と冷ややかな声が広がった。ただ、安倍晋三首相周辺によると、首相がかねて岸田氏に抱く期待は変わっていないとされ、今回の人事をめぐる各派との調整でも8月30日に最初に官邸に招く配慮を見せた。
結局、政調会長留任となり、岸田派内には落胆の声が広がる。同派幹部は「幹事長の可能性があると思っていたから残念だ」と肩を落とし、参院の中堅議員は「いつになったら宏池会政権ができるんだ」と嘆いた。
党内には「政調会長留任でも総裁候補の立場は変わらない。ほかに適当な人がいない」(竹下派幹部)との見方がある。しかし、2年余りの政調会長ポストで目立った実績はなく、無派閥の閣僚経験者は「留任では参院選での負のイメージ払拭(ふっしょく)にはならない。岸田氏はこのままでは終わる」と指摘した。