過労死防止対策シンポ 夫亡くした女性が経験談

過労死等防止対策推進シンポジウム(厚生労働省主催、熊本県後援)が熊本市内のホテルで開かれた。夫を過労で亡くした佐賀県の50代女性が自身の体験を語り「人生を仕事漬けにされることなく、何のために働くのか常に考えてほしい」と呼びかけた。【山本泰久】
毎年11月の過労死等防止啓発月間に合わせて開催された。冒頭、木下正人・熊本労働局長が「過労から命が失われることがあってはならない」とあいさつ。基調講演に続いて女性が登壇した。
女性の夫は2006年12月、入院している母親の見舞いに行った病院で長椅子に横たわり、心臓が止まって20分以上たった状態で見つかった。46歳。手には携帯電話が握られ、亡くなる直前まで商談をしていたという。
勤めていた会社は1年で大型量販店10店舗を新規開店するなど急成長していた。さまざまな業務を任されていた夫は午前3時に家を出ることもあり、休日は月3、4日だった。
夫の異変に気づいたのは亡くなる半年前。新入社員研修の富士登山から帰った夫の顔はむくんで土色になっていた。しかし、その後も徳島、長崎へ出張。疲れすぎて食事が取れなくなり「疲れた時にはこれが効く」と箱買いしたチョコレートを毎日食べた。朝は酢を飲むようになった。
亡くなるまでの半年の時間外労働は月平均120時間、最大で150時間に上った。女性は「休養を取ってほしい」と何度も訴えたが、夫は「仕事がたまっている」と休まず働き続けたという。
「『会社が大きくなったら家計が楽になる』といつも言っていました。まさか亡くなるとは家族も本人も思っていませんでした。子供2人を残して亡くなったので彼の無念を思うと今でもいたたまれない気持ちです」
会場は静まり返り、女性の話が終わると大きな拍手が起こった。その後のパネルディスカッションでは熊本の働き方改革の現状や今後の課題が話し合われた。