厚生労働省は2020年度から、予期せぬ妊娠などで悩む10代を主な対象に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った若い妊婦の相談支援を始める。
母子の健康を守り、虐待を防ぐ狙いだ。支援活動に取り組む地域のNPO法人などの団体に補助金を支給する方針で、20年度予算の概算要求に約16億円を計上した。
若い世代に利用しやすい窓口を設けるため、SNSに着目した。スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」などの活用を想定している。相談員が、画面上で相談者とメッセージをやりとりしながら心身の状態を把握し、対応する。必要に応じ、妊婦健診に同行したり一時的な居場所を確保したりする。
10代の出産は全出生数の1・3%前後にすぎないが、支援が必要な背景に、子どもを虐待するリスクが高いという問題がある。厚労省によると、07年1月~17年3月末に発生・判明した虐待による子どもの死亡例(心中を除く)で、虐待死した535人のうち、99人(19%)は母親が10代で出産していた。妊婦健診の未受診や、授乳などの世話が十分にできていないケースも目立った。
妊婦を支援するNPO法人「ピッコラーレ」(東京)の中島かおり代表理事(47)は「社会から排除され、安心できる居場所のない若い妊婦の多くはSNSだけが社会との接点だ。母子の生活支援も含めた幅広い支援につなげてほしい」と期待する。