佐賀県嬉野市にある養護老人ホームで、入所者の胃ろう用のカテーテルを抜いたとして傷害罪に問われ、その後無罪判決を受けた同県鹿島市の女性(34)について、武雄労働基準監督署が、施設から犯人扱いされて適応障害を発病したとして、労災と認定していたことが判明した。女性の代理人弁護士が14日、明らかにした。
認定は4月23日付。2014年11~12月に施設で入所者の男性のカテーテルが抜けることが複数回あり、県警は15年5月に女性を逮捕。女性は傷害罪で起訴されたが一貫して無罪を主張し、佐賀地裁は17年12月に「故意に抜いたとするには合理的な疑いが残る」と無罪判決を言い渡し、その後確定した。
女性は18年10月、「施設側が犯人と決めつけて自宅待機を命じたうえで警察に通報し、睡眠障害で歩けなくなるほどの精神状態となった」と労災を申請。労基署は「一方的に犯人扱いされ自宅待機を命令された」とし心理的負荷を3段階で最高の「強」にあたると判断した。
女性は今も働けない状態にある。代理人弁護士は「誤った疑いで無罪になった労働者が、きちんと会社に責任を取らせることができると認知されればいい」と話した。【池田美欧】