横浜市神奈川区の京急線踏切で、快特電車と13トンの大型トラックが衝突した事故で、トラックの運転手の男性1人が死亡、乗客ら33人がけがをした。最高速度120キロで「路地裏の超特急」とも呼ばれる京急線について、専門家は「時間通りの運行や安全面への配慮もある路線」というが、今回は衝突直前に手動で非常ブレーキをかけたが間に合わなかった。何が起きたのか。
事故から一夜明けた6日、京浜急行電鉄は事故車両の撤去など復旧作業を進めた。7日始発までに不通区間の運転再開を目指す。神奈川県警は6日、自動車運転処罰法違反の疑いで、死亡したトラック運転手が勤務する千葉県香取市の運送会社を家宅捜索した。
13トンの大型トラックは、線路沿いの細い道を右折し、踏切を横断しようとしたが曲がりきれず立ち往生。警報機が鳴り始めて遮断機が下り、快特電車と衝突した。
「京急線は『西の阪神、東の京急』と呼ばれ、運行がきっちりしている路線なので、ショックだ」と語るのは鉄道アナリストの川島令三氏。
「京急は(人などが多い街中を走る)路面電車から始まった私鉄なので、時間通りの運行や安全面への配慮でも知られていた」という。
京急のホームページによると、衝突した「新1000形」車両は2007年以降に導入された同社初のステンレス車体。川島氏は「他社線も含めて、新しい車両では座席の端の仕切りをパイプ式の柱状から板状に切り替えたり、手すりなど手がかりになるものも多くししている」と、乗客の被害を軽減する策が取られていると解説する。
ただ、今回の事故では、踏切手前で「障害物検知装置」が作動。信号の点滅に気付いた運転士が非常ブレーキをかけたが間に合わなかった。
線路内の障害物を検知した場合に列車を止める自動ブレーキを導入すべきだとの声もある。他社の一部路線では踏切で遮断機が完全に下りるまでに列車が停止するよう制御する信号システムが使用されている。
前出の川島氏は、「自動ブレーキの導入は(システム的に)可能だが、踏切が下がるギリギリで走って渡る人などにも反応してすぐ止まってしまうことも考えられる。トラブルなどで止まることが少ない路線のため、難しい判断になるのではないか」と指摘した。