韓国 アフリカ豚コレラ感染の4万7000頭分の血液が川に流出

韓国地元メディアなどの報道によると、アフリカ豚コレラ(ASF)に感染した疑いがある豚の血液が、北朝鮮との国境近くの川に大量に流出したことがわかった。環境部局が下流に流れていかないよう、急きょ堤防を建造し、飲料水を汲み上げる川に流れ込むのを防いだという。
問題が発覚したのは、今月10日、北朝鮮との軍事境界線が通る韓国北部の京畿(キョンギ)道漣川(ヨンチョン)郡を流れる臨津江(イムジンガン)上流の小川が真っ赤に染まっているのを地元住民が発見。
その上流にある養豚場では、前日から約4万7000頭の豚が、アフリカ豚コレラに感染した可能性が高いとして殺処分されており、防疫職員がショベルカーで地中に穴を掘って、順番に埋葬されていた。しかし死んだ豚の数が非常に多いため、一時的に敷地内に積み上げていたが、作業中に雨が降ったために、大量の豚の血が50メートルほど離れた小川に流れ出したとみられている。
この問題は市民団体「漣川臨津江市民ネットワーク」が地元メディアに告発して発覚。そこからニューヨーク・タイムズやBBCなど海外メディアでも報じられたことで、広く知られるようになった。
This makes me sick. The blood of tens of thousands of dead pigs killed due to African swine fever leaches into the Imjin River after being burried.https://t.co/rtu2MVGsNB pic.twitter.com/W8lgH0fTzm
事態を重く見た漣川郡の環境局は、仮堤防を作って、水路を一時的に遮断し汚染水を汲み上げることで、汚染水が下流へ流れることは防げたが、地元の取水場では汚染水が流入した一帯の水質検査を徹底すると話しているという。
漣川郡の農林畜産部門によると、周辺では先月以降、8頭の野生のイノシシからアフリカ豚コレラウイルスが検出されており、複数の養豚場で合計16万頭が感染の疑いがあるとして殺処分を受けているという。
現在、日本国内では岐阜県や長野県など47カ所で豚コレラ(CSF)の感染が拡大しているが、アフリカ豚コレラとは毒性が異なり、別の病気だ。アジアでは中国やモンゴルのほか、香港などの養豚場でもアフリカ豚コレラの発生が確認されており、韓国では今年9月17日に北部で見つかった。
これらふたつの病名が似通っていてまぎらわしく、風評被害を招くおそれがあるため、農林水産省は13日、アフリカ豚コレラを「ASF」、豚コレラを「CSF」と区別することを発表している。