「テスラ」撤回の千葉県市川市で新たな公金問題 予定になかった「庁舎階段」設置工事に1億5千万円!?

千葉県市川市の村越祐民(ひろたみ)市長(45)が米テスラ社の高級電気自動車(EV)を公用車に導入して批判を浴び、解約を決めたが、税金の使途をめぐる新たな問題が浮上した。市庁舎の建て替えをめぐり、予定になかった階段を設置する工事が急遽(きゅうきょ)追加されたのだ。供用開始が遅れ費用も1億5000万円にのぼるだけに、市議からは必要性に疑問を呈する声も出ている。
市は7月にテスラ車を公用車に導入したが、リース額が従来の国産車の2倍を超える月額14万5000円で、「高すぎる」との批判が寄せられた。差額分を市長が返納するとして市長給与を8%削減する条例改正案を9月議会に提案予定だったが、今月4日に取り下げを申し入れ、リース契約の解除を決めた。
新たな問題は、市庁舎の建て替え工事が舞台。市は2015年から第二新庁舎の建て替え工事を始め、17年4月に完成した。第一新庁舎についても17年に工事を始め、完成も20年に迫っていたが、今年8月27日に突如、「1、2階中央部に階段を作る決定をした」と発表があったのだ。
市担当者によると、階段設置に伴う追加工事により、当初20年8月に予定されていた供用開始時期は5カ月延期され、費用は1億5000万円を見込んでいるという。
設計になかった階段を追加する理由として、村越市長は記者会見で「オープンイノベーション、ワンストップサービス、ワンスオンリーサービスなどの現代的な要請に応えたしつらえにする必要がある」と説明した。
同市の越川雅史市議は、「追加工事は、当初の設計通り庁舎が完成した後に該当部分を壊して取りかかると聞いている。工事のやり方としておかしく、それほどの有用性もあるのか疑問だ」と述べる。
「庁舎建て替えは13年から取り組みが始まり、議会や地元住民の意見を聞きながら20年夏に完成と最終段階を迎えていた。6月の議会でも予定通りの完成と聞いていたし、8月6日には同様のスケジュールで近隣住民にも説明会を開いていた。その予定がなぜ2週間足らずで覆るのか」とも疑問を呈する。
税金の使途としてはテスラ車よりもはるかに規模が大きいが、市民に分かりやすい説明は行われるのか。