2015年度までの5年間に踏切内で列車が自動車と衝突した事故633件を国土交通省が分析したところ、60歳以上の人が車を運転していたケースが約半数の48.3%に上っていたことが6日、分かった。
京急線踏切で列車がトラックと衝突、脱線した事故でも、踏切内で立ち往生していたトラックは67歳の男性が運転していた。国交省は分析結果について、「一般論で言えば、高齢になるほど判断力が落ちる。高齢者が運転する車による事故の多さは統計からも出ている」として、踏切内の保安設備設置が対策として重要と指摘している。
同省の資料によると、633件のうち、60~79歳が自動車を運転していたケースは250件で、80歳以上は56件だった。
遮断機と警報機がある踏切での自動車との衝突事故を原因別に分析したところ、最も多かったのは「停滞」。自動車が踏切から出る前に遮断機が下りたり、前方の道路の渋滞などで踏切内にとどまってしまったりすることを指す言葉で、立ち往生も含まれる。
運転者が60歳以上でも未満でも、事故原因の最多は停滞だった。ただ、60歳以上では停滞が41.7%に上り、60歳未満の33.7%より割合が高かった。
京急線の事故では、保安設備の一つ、障害物検知装置にも焦点が当たっている。センサーが踏切内の障害物に反応して信号を点滅させ、列車の運転士が手動でブレーキをかけることで、踏切手前で停止させる仕組みだ。事故車両の運転士は、信号を見てブレーキをかけたと説明しているが、トラックとの衝突は防げなかった。
京急線では、装置が作動した場合に自動で列車のブレーキがかかるシステムは導入していない。システムの普及を求める声も上がるが、国交省の担当者は「まず原因を把握しなければ」と話している。