日本の植民地時代に日本企業での労働を強いられた韓国の元徴用工らが、未払い賃金や損害の賠償を求めている徴用工裁判。昨年10月、韓国大法院(最高裁判所)が元徴用工への賠償を日本企業に命じてから1年が過ぎた。日韓関係の悪化が取りざたされる中、この問題に正面から迫ったドキュメンタリー番組「映像’19 ぶつかりあう日韓~徴用工裁判の核心」が24日深夜(25日午前)0時50分、MBS(大阪市)で放送される。今年7月に放送した「ある徴用工の手記より」の続編だ。
原告となった元徴用工らの裁判は1997年12月、大阪で始まった。戦時中、日本製鉄大阪工場で働かされた男性2人が当時の未払い賃金の支払いなどを求め、国と企業を提訴。65年に締結された日韓請求権協定が賠償問題について「完全かつ最終的に解決された」と明記していることなどを理由に、1、2審で敗訴が続き、最高裁への上告も棄却され、2003年に敗訴が確定した。
原告2人は05年2月、他の元徴用工らとともに自国の韓国で裁判を起こした。1、2審では、日本での裁判と同じく日韓請求権協定などを理由に敗訴。しかし、韓国大法院は「日本の不法な植民地支配に直結した強制動員の慰謝料は、65年の請求権協定には含まれていない」という新たな解釈を示した。
韓国大法院判決を尊重する姿勢を見せる韓国政府と、判決は国際法違反だとする日本政府。両者の主張は歩み寄りを見せないままだ。番組では裁判の過程を振り返り、原告や識者らにインタビュー。両国がこの問題にどう向き合うべきかを問いかけている。
取材を担当した津村健夫ディレクターは「まずは韓国側のものの考え方、そこから導き出された徴用工裁判の判決内容を知ることが必要だ。そこから批判や議論をすればいいのだが、不幸なことにそれがないまま嫌韓的な物言いがあふれている。メディアとしても、基本的なことを勉強して伝えたいと思っている」と話した。【倉田陶子】