大正天皇ゆかり「ザリガニスープ」を再現 研究者と中禅寺金谷ホテルが協力

大正天皇即位の礼の祝宴に供された「ザリガニスープ」が、研究者や中禅寺金谷ホテルなどによって再現された。天皇陛下即位の年に復活した逸品に、観光業者らは大正天皇ゆかりの日光で新たな名物に育てようと期待を込めている。【花野井誠】
即位の礼の祝宴で提供
1915(大正4)年11月に開かれた祝宴では、北海道・支笏湖(しこつこ)産のニホンザリガニを使ったスープがメニューに加えられたという。
ニホンザリガニの研究者で栃木県那須塩原市の住民グループ・那須文化研究会の堀彰一郎さん(50)が2006年、同県日光市本町にあった日光田母沢御用邸(1947年に廃止)にニホンザリガニが持ち込まれたとの文献を参考に、「県内では生息しないはず」(堀さん)のニホンザリガニを日光市内の川で発見した。日光の観光関係者から「観光資源に生かせないか」と打診され、スープ復活の企画が持ち上がった。
しかし、絶滅危惧種のニホンザリガニは食材に使えないため、県内産のアメリカザリガニを代用することになった。外来種の活用に取り組む那珂川町の馬頭高水産科の生徒が、アメリカザリガニの泥抜きや加熱処理で協力し、地産地消を後押ししている。
スープの再現は奥日光の中禅寺金谷ホテルが担当した。料理長の増子陽(ましこ・あきら)さん(47)は「見た目や臭いで敬遠されるかもしれないというプレッシャーがあった」というが、試行錯誤を繰り返し、ザリガニの赤色を引き立たせる、ジャガイモとタマネギの白いポタージュを考案した。
「食材の可能性探りたい」
このほど日光市の日光金谷ホテルで堀さんや飲食店主、観光業者らが出席して行われた試食会では、ザリガニで取っただしによるコクと、エビのような食感の身、臭みのなさが好評だった。堀さんは飲食店での提供も視野に「ザリガニを食べるという話題性があるうちは、いろいろな仕掛けをしたい。将来は地産地消、高校との連携を進め食材としての可能性を探りたい」と話した。
ザリガニスープは中禅寺金谷ホテルで来年2月から、大正時代のメニューを再現したコース料理の一品として提供する予定。