戦時中に名古屋市の軍需工場で働かされた元女子勤労挺身(ていしん)隊の韓国人女性や遺族計5人が損害賠償を求めた訴訟で、三菱重工業に賠償を命じた韓国最高裁の判決から29日で1年となるのに合わせ、日本訴訟の弁護団が27日、名古屋市内で記者会見し、「三菱重工が真摯(しんし)に被害事実に向き合い、話し合いで全面解決に応じることを求める」とする声明を発表した。
声明では、原告が90歳前後の高齢になっており「残された時間はほとんどない」と指摘。日韓両政府に「植民地下の反人道的不法行為による被害回復を図るため、協力して本件に臨んでほしい」と求めた。同社と日本外務省に送付する。内河恵一弁護団長は「被害者の人権回復が目的だが、それを飛び越えて両政府の対立になっている。被害者に向き合ってほしい」と訴えた。
韓国最高裁は昨年、三菱重工の上告を棄却し、同社に計約5億6000万ウォン(約5600万円)の支払いを命じた判決が確定した。日本訴訟では、原告らが1999年に同社や日本政府に賠償を求めて提訴。2審の名古屋高裁は動員を強制連行と認定したものの、65年の日韓請求権協定で賠償請求権は主張できないとして請求を棄却。2008年に最高裁で敗訴が確定した。【川瀬慎一朗】