独立行政法人「地域医療機能推進機構」(東京都港区)への医薬品納入で談合の疑いがあるとして、公正取引委員会は27日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで医薬品卸大手4社を強制調査した。受注調整の規模は700億円に上るとみられ、検察当局への刑事告発を視野に調査を進めている模様だ。
関係者によると、4社はメディセオ(東京都中央区)▽アルフレッサ(千代田区)▽スズケン(名古屋市)▽東邦薬品(東京都世田谷区)。
各社は2018年、機構が発注した医薬品の入札で、事前に協議して価格や落札予定業者を決めるなど受注を調整していた疑いが持たれている。機構は全国で57病院を運営しており、発注規模は薬価ベースで700億円規模に上っていたという。
機構は全国の社会保険病院や厚生年金病院を存続させるため14年に設立された。効率化の一環として各病院が扱う医薬品を一括して調達していた。全国規模の納入に対応できる卸業者が限られ、一括調達で受注調整しやすいことなどが、談合の温床になったとみている。価格を抑えるはずの一括調達の意義にかかわるとして、公取委は年明けの刑事告発も視野に調べる模様だ。
2年に1度の国の薬価改定は、医療機関などへ納入する際の「市場実勢価格」を調査し、価格が下がっていれば薬価も引き下げられる。談合で高止まりした卸値が参考にされていたとすれば、薬価に影響が出ていた可能性もある。
調査を受けた各社は「厳粛に受け止め、調査に全面的に協力する」、機構は「事実確認ができず、確認した上で対応していきたい」とコメントした。
公取委の強制調査は、悪質な談合やカルテルなどを告発するために独禁法で認められた「犯則調査権」に基づいており、17年12月のリニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件以来。排除措置命令などの行政処分ではなく、事案の悪質性などから刑事責任の追及を念頭に置いているとみられる。【渡辺暢】