宮城県内全域で15年間に観察されたハクチョウ類の個体数を同県伊豆沼・内沼環境保全財団(栗原市)などが分析したところ、2月に降雪の多い年ほど3月になっても多くが残り、1月の数からの減少率は低くなる傾向にあるとわかった。一方、雪の少ない年は減少率が高い傾向にあった。日本からシベリア方面への「渡り」は、雪が多い年に遅く、少なければ早いと古くから言われてきた降雪量との関係が、初めてデータで裏付けられた。【山田研】
同財団総括研究員の嶋田哲郎さんと、千葉県生物多様性センターの森晃さんが分析した。全国的には年1回しかない渡り鳥の個体数調査を、宮城県は毎年11月の渡来期、1月の越冬期、3月の渡去期の年3回、実施。ほぼ同じ約500カ所で半日、自然保護員らが目視で数える。嶋田さんらは2000~14年度までの15年分のデータを基に分析した。降雪量は飛来数が最多のラムサール条約登録湿地「伊豆沼・内沼」(栗原市・登米市)から比較的近い、大崎市古川での気象庁による観測データを使った。
分析によると、オオハクチョウ、コハクチョウを合わせたハクチョウ類の15年間の年平均飛来数は、1月1万3057羽、3月3230羽。1月調査時点に比べた3月の減少率は75%になる。減少率が最も低かった年は、1月の1万3257羽に対し3月も8895羽が残っていた12年(32%)。以下、01年(35%)、13年(51%)の順だった。逆に最も高かったのは、2万1219羽から308羽に減った15年(98%)で、10年(94%)、09年(91%)と続く。
一方、古川の2月の月間降雪量が最も多かったのは12年の155センチで、飛来数の減少率最小と重なる。2番目の積雪量は14年(122センチ)だったが、3番目は01年(117センチ)で、減少率が2番目に低い年にあたる。逆に降雪量が少なかったのは、減少率が最大の15年(17センチ)だった。
また、古川の降雪量を、栗原市築館で観測された気温と比較すると、ほぼ相関関係にあり、気温が低いほど、降雪量も多い傾向にあった。嶋田さんは「宮城県は年に3回観察しているので、降雪と渡りの関係を説明することができた。継続すれば、地球温暖化と渡りの関係もわかるだろう」と話す。
これらの研究成果は同財団の論文集「研究報告」で発表されている。