新幹線殺傷の被告、女性客2人を「残念ながら殺し損ないました」…初公判

神奈川県を走行中の東海道新幹線で昨年6月、乗客3人がナタで殺傷された事件で、殺人罪などに問われた住所不定、無職小島一朗被告(23)の裁判員裁判が28日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)で始まった。
小島被告は「殺すつもりでやりました」などと述べ、起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、「被告は刑務所に入るために新幹線での無差別殺人を計画した」と主張した。
起訴状などでは、小島被告は2018年6月9日午後9時45分頃、新横浜駅―小田原駅間を走行中の下りの東海道新幹線「のぞみ265号」(16両編成)の12号車で、当時26歳と27歳の女性をナタ(刃渡り約19センチ)で襲って負傷させたうえ、止めに入った兵庫県尼崎市の会社員梅田耕太郎さん(当時38歳)の首などをナタとナイフ(刃渡り約10センチ)で切りつけ、殺害したなどとしている。
小島被告は丸刈りにした頭に上下灰色のスエット姿で法廷に入り、「失礼します」と被告人席に着席。罪状認否では、はじめに襲った女性2人に関して「残念ながら殺し損ないました」とし、梅田さんについても「通路に倒れている人を殺そうとして見事に殺しきりました」と殺害を認めた。
冒頭陳述で検察側は、「小島被告はいつの頃からか、一人で生きていくことは難しいと思うようになり、一生、刑務所に入れるような重大な犯罪を決意した」と指摘。被告が事件前にホームセンターでナタを購入していたことなどから、計画的だったとも強調した。
事件に至る経緯については、被告は両親らと不仲だったため、養子縁組をした祖母と愛知県内で同居していたが、事件の約5か月半前の17年12月に「旅に出たい」と祖母宅を出て、長野県内の公園などで寝泊まりしていたと説明。18年3月、心配した祖母が「帰って来てくれないのは、長い夢を見ているのかね。とにかく帰って来なさい」と電話したところ、被告は養子縁組を解消されると曲解し、この電話をきっかけに事件を起こそうと決意した、と主張した。
これに対し、弁護側は「犯行態様や動機に争いはない」としながらも、「事件の背景事情には検察官と認識の違いがある。量刑が争点になる」と述べた。
小島被告は捜査段階で、「社会を恨んでいた。誰でもいいから殺そうと思った」と動機を供述。起訴前の約4か月間の鑑定留置では、猜疑性(さいぎせい)パーソナリティー障害と診断されたが、検察側は、責任能力はあると判断して昨年11月に起訴した。