苦しんでいるキミに…経験者が「不登校のススメ」短編映画で訴え「いろいろあっていい」

不登校だった若者3人が、不登校の少女を主人公にした短編映画「不登校のススメ」を製作した。経験を基に、周りの理解のなさが不登校の子供や親を苦しめる現実などを約30分で丁寧に描く。主に滋賀県内で上映会を開いてきたが、来月は鳥取や三重などでも上映予定。監督を務めた山田和(のどか)さん(16)=滋賀県高島市=は「学校に行くことが当然とされ、苦しんでいる人が多い。不登校の子供たちの実態を知ってほしい」と話す。
3人は山田さんと、同県近江八幡市の岩田圭果(けいか)さん(19)、同県守山市の上野咲星(さきら)さん(17)。山田さんは小学校に入学後、不登校を経験したが、親の理解もあって中学まで好きな時だけ学校に通い、現在はオンライン授業が中心のN高校に在籍。高校2年の時に不登校になった岩田さんは通信制高校に転校し、上野さんも不登校を経験した。
中学1年だった山田さんは2016年、知人の映画監督のワークショップに参加し、本格的に映画の撮影を開始。ハンディーカメラで撮影した映像や音声をパソコンで自ら編集する。5作目となった前作「ストーカーその後の幸せ」では、ストーカーと間違えられた男性と女子大生との交流を描いた。昨年、神戸市の元町映画館が主催した映画祭「元町ショートフィルムフェスティバル」で入選した。
この作品に岩田さんと上野さんが出演したことがきっかけで、3人で不登校を題材にした映画を製作することになった。脚本は、不登校の時に周りから「頑張って学校に来た方がいい」などと掛けられた言葉に苦しんだ経験などを基に3人で作成。主人公の中学2年の女子生徒役は上野さんが演じ、劇団員や知人の協力も得た。山田さんの自宅などで昨年9月、4日間撮影し、今年7月に完成した。

映画は女子生徒が朝、登校しようとすると、急に原因不明の腹痛に襲われる場面から始まる。学校を2週間休むことになり、女子生徒や母親は周囲の人や担任に「将来のために学校に行った方がいい」と説得され、街中で会った同級生には「本当におなか痛いの?」などと、からかわれるシーンが続く。
女子生徒が学校に行けない自分を責める中、周りの目を気にする父親から「(学校に行くため)少しは努力したらどうだ。お前のためを思って言ってるんだ」と怒鳴りつけられ、自室にこもってしまう。そんな中、不登校を経験したベンチャー企業の経営者と出会い、学校に行けない自分を徐々に受け入れ、明るさを取り戻していく、という物語だ。
10月9日に大津市の古民家フリースペース「momo庵」であった上映会では、山田さんと岩田さんが観客と感想を語り合う機会があった。小学5年の長男が不登校の女性(45)は「なぜ学校に行かへんのか、という世間の目がとても強い。子供の気持ちを考えて『つらいやろな』と思った」と涙ながらに打ち明けた。「学校に行きたい人は行けばいいし、行きたくなければ行かなくていい。いろんな考え方があっていい」という岩田さんらの話を聞き、女性は「人と比べる必要はないんやな」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
岩田さんは「子供が不登校だと、親も子も互いに接し方が分からないことがある」、山田さんは「良かれと思った説得が不登校の人を苦しめることがある。当事者の周りの人にこそ映画をみてほしい」と語った。上映会の申し込みや問い合わせは、山田さんの両親が高島市で営む花屋「midori―ya」(0740・33・0006)。【小西雄介】
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