波紋広げる自民幹部の女系天皇「容認」発言 重鎮「不勉強だ」

皇位継承のあり方をめぐって、自民党幹部から「女系天皇」容認論が飛び出し、波紋を広げている。
政府は来春以降に安定的な皇位継承策の検討を本格化させる方針だが、女系天皇の容認は長年の伝統を無視し、天皇の正統性を失わせることにつながる。「女系」と「女性」天皇の違いなどについて国民の理解が深まっているといえない状況で、党幹部の発言は混乱を招きかねない。(広池慶一)
「男女平等、民主主義の社会を念頭に入れて問題を考えればおのずから結論は出るだろう」
自民党の二階俊博幹事長は26日の記者会見で、女性天皇と女系天皇への見解を問われこう述べた。二階氏は平成28年にも「女性尊重の時代に天皇陛下だけ『そうならない』というのは時代遅れだ」との考えを示している。
甘利明税調会長も24日のテレビ番組で「男系を中心に順位を付け、最終的な選択としては女系も容認すべきだ」と発言した。
女性天皇は過去に「中継ぎ」として10代8人存在したが、126代にわたって皇位は常に男系で継承されてきた。
安倍晋三首相は国会答弁などで、皇位継承に関しては、男系の重みを踏まえるとの認識を重ねて強調している。党内でも岸田文雄政調会長は25日の会見で「皇室の長い歴史や伝統を考えた場合、女系天皇は慎重に検討すべきだ」と発言。6月の会見でも「男系天皇の存在は長い間、歴史・伝統を守り続けてきた点で大きな重みを持つ」と述べた。
こうした中で、党幹部から女系容認論があがったことに対し、ある党重鎮は「女系になったら皇室が全く別ものになってしまうことを知らないのか。不勉強だ」と苦言を呈す。
もっとも、皇位継承に関し、党の公式見解は定まっていない。「男系維持」を訴える声が根強いものの、議論が紛糾すれば国論を二分する危険性もあるだけに、表だった党内議論には慎重になっている。
ベテラン議員は「議論を始めれば『女性・女系』対『男系』の論争に発展するリスクがある」と警戒。若手議員も「党の見解をまとめれば、各党と対立し、政局に利用されかねない」と懸念する。
一方、世論調査では女性天皇と女系天皇の違いなどについて十分知られていない現状も浮き彫りになっている。皇位継承議論の本格化に向け、国民の理解を深めるための啓発も今後の課題となる。