2011年3月に廃止された「大津びわこ競輪場」(大津市二本松)の跡地に29日、複合商業施設「ブランチ大津京」がオープンした。「公園の中の商業施設」をコンセプトに、日用品販売店や飲食店、スポーツ施設などをそろえ、商業施設部分は年間来場者400万人、72億円の売り上げを見込む。西武大津店(同市におの浜2)が来年8月の閉店を発表するなど、市内から大型商業施設の撤退が相次ぐ中、まちの空洞化に歯止めをかけられるか、注目が集まる。
ブランチ大津京は、大和ハウスグループの大和リース(大阪市)が全国で展開する商業施設「ブランチ」の9カ所目で、敷地面積(約6万4800平方メートル)は最大規模。市が運営していた競輪場の跡地利用に民間の活力を導入しようと、市が実施した公募で選ばれた。同社によると、既存施設の解体や都市公園の整備費用を含めた総事業費は約60億円。
敷地内には2階建て施設2棟、平屋建て施設7棟の計9棟(延べ計2万5450平方メートル)が配置。この日は、スーパー「マックスバリュ」のほか、地元の住民からの要望が多かった衣料品「ユニクロ」や家具インテリア「ニトリ」、彦根市の有名ジェラート店「アズーロ」など計29店舗が営業を始めた。来春までには全42店舗が出そろう予定だ。
関西最大級の売り場面積(約960平方メートル)となるアウトドア用品「モンベル」の店舗横には、クライミングを体験できるタワーを併設。ボルダリングやヨガのジム、バスケットボール3人制のプロチーム「ニンジャ・エアーズ」が本拠地を置くバスケットボールコート併設の飲食施設なども備え、スポーツ関連の一大拠点ともなっている。
また、誰もがオーナーになれる貸し本棚を備えた、無人運営の書店「セルフブックス」▽スタッフ常駐のキッズスペースを併設したオフィス「ママスクエア」▽地域交流スペース▽会議やイベントに使用できるシェアスペース――など、まちのにぎわいを生み出すスペースも用意された。
一方、敷地内には約1万5100平方メートルの公園を整備。近江神宮(同市神宮町)から琵琶湖へと延びる県道・通称「神宮道」の脇に立地しており、「近江神宮外苑公園(通称・ブランチパーク)」と名付けられた。催しやスポーツを楽しめる二つの芝生広場のほか「かまどベンチ」や「マンホールトイレ」など災害時に利用できる設備も備え、地域の防災拠点としての役割も期待されている。
最寄りのJR大津京駅や京阪大津京駅からは徒歩で約15分かかることもあり、主なターゲットは車で訪れる9キロ圏内の約12万人。そのため、商業施設用に756台分の駐車場を用意し、渋滞対策としてゲートを設けず、車両番号を自動で読み取り精算するシステムを採用した。最初の1時間(来月8日までは3時間)は無料とし、各店舗を利用すれば更に2時間無料とするなど、車の利便性を高めて取り込みを図る。
市と大和リースは2050年4月まで定期借地契約を結び、公園部分は同社が整備後に市に無償で譲渡した後、指定管理者として商業施設と一体で運営する。この日はセレモニーが開かれ、越直美市長は「官民一体の新しい形を表している。多くの市民に愛される憩いの場になれば」。同社の森田俊作社長は「公園のポテンシャルをもっと磨き、近江神宮外苑公園が『ジャパニーズパーク』と呼ばれるようになりたい」とあいさつした。【成松秋穂】