減少傾向が続いていた福岡県内の飲酒運転事故が再び増え始めている。9年前には全国ワースト1位になったこともあるだけに県警は神経をとがらせるが、今年は増加に転じた昨年以上のハイペースで事故が発生している。29日には同県古賀市出身でラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で活躍した福岡堅樹(けんき)選手(27)が県警粕屋署の一日署長に就任。飲酒の機会が増える忘年会シーズンを前に、「日本代表でもルールを守ることを大事にしてきた」などと語って注意を促した。
県内では悲惨な飲酒運転事故が起きる度に一時的に事故件数が減り、ほとぼりが冷めると再び増加するというパターンを繰り返してきた。
県警によると、福岡市東区の「海の中道大橋」で幼いきょうだい3人が死亡した2006年は650件の事故が発生したが、翌07年は366件に急減し、08年には284件に。ところが、全国的に一貫して減少する中、09年には早くも増加に転じ、10年には都道府県別で全国ワースト1位になった。
そうした中、11年2月に同県粕屋町で歩行中の高校生2人がはねられて死亡する事故が発生し、再び飲酒運転撲滅の機運が高まった。
12年2月には検挙者にアルコール依存症検査の受診を義務づける全国初の罰則付き条例が制定され、14年には全国順位もワースト11位に改善した。ただそれも長くは続かず、18年は126件まで減った17年に比べ18件増の144件。今年も10月末現在で前年同期比1件増の114件発生し、現状はワースト5位のペースだ。
増加傾向に歯止めをかけようと県警は情報発信に力を注ぎ、今月1日からは幅広い年齢層をターゲットに主に博多弁で啓発メッセージをツイートする取り組みを始めた。29日にはラグビーW杯で4トライを奪うなど日本初のベスト8入りに貢献した福岡選手(県立福岡高校出身)が、粕屋署の一日署長として年末年始特別警戒活動の出陣式に参加。粕屋町のショッピングモールで買い物客らに「安心・安全という大きな目標に向かって、ワンチームとなって日々の警戒活動に臨んでください」と呼び掛けた。【中里顕、佐野格】