若手陶芸家らが「オタク」心全開の作品展 戦艦や戦車、フィギュアを陶器で

滋賀・信楽在住の若手陶芸家ら11人が、自らの趣味を全開にした作品を展示する「ファンタスティックフェスティバル」が30日、滋賀県甲賀市信楽町の「壺八(つぼはち)窯」で始まった。陶製の戦艦や戦車、ロボット、フィギュア、怪獣の絵皿など「オタク」心をくすぐられるような作品に、来場者は見入っていた。12月1日まで。
壺八窯の陶芸家・奥田大器さん(38)が中心となり「オタク的な陶芸作品を集めたイベントをしよう」と2017年に始め、今回で3回目。奥田さんの直径50センチの怪獣絵皿など、100点以上が展示即売(一部は非売品)されている。
「ミリタリー陶器」が専門の陶芸家・息吹フレイルさん(33)は、全長約2・3メートルの戦艦大和や旧ドイツ軍の戦車「ティーガー」などを出展した。戦艦大和は主砲、副砲などの砲塔や、高くそびえる艦橋を細かく再現。後方には艦載機も配備し、カタパルトも稼働するこだわりようだ。旧ソ連の戦車「KV―2」は緑の釉薬(ゆうやく)で彩色後、雪原迷彩の白を重ね塗りした。「本物と同じ順番で彩色した。好きで作っているからこそ、こだわり抜きたい」と話す。現在は、より細部を再現した全長3メートルの戦艦大和の制作に取りかかっているという。
陶器ロボット「スティールメイト」などを作る陶芸家・谷陶択(とうた)さん(32)は、弟のイラストレーター・世津田(よつだ)スンさん(25)の作品を立体化。「初めて弟の作品を隅々まで見て刺激を受けたし、ライバル意識も強まった」と語る。今夏まで社会人野球チームに所属した世津田さんは、145キロの速球投手と両立しながらCDジャケットを手がけるなど、プロのイラストレーターとして活動してきた。ファッション性の高い人物イラストは、インターネットを通じてファンも増えている。「今後は信楽を拠点に、ファッションブランドもスタートさせたい」と意気込む。

上目遣いがかわいい陶製の犬を、手びねりで制作する陶人形作家・小賀大介さん(43)は「作品ごと、窯の中に物語がある。手にして感じる質感や重みが、陶器の魅力」と語る。ソフトビニール人形作家の首領アトムさん(37)は信楽焼のタヌキをイメージした怪人「汁(しる)バー」を制作し「必殺技などの設定はなく、どんな動きをするかは、手にした人の想像で遊んでほしい」と説明した。
奥田さんは「『信楽に住む変なおっちゃんが、オモロイもん作ってるぞ』と興味を持ってもらえたらうれしい。気軽に共通のオタクトークで盛り上がりましょう」と呼び掛けた。
午前9時~午後5時半。入場無料。問い合わせは壺八窯(0748・82・0186)。【礒野健一】