福岡県小郡市の自宅で妻子3人を殺害したとして、殺人罪に問われた元福岡県警巡査部長、中田充(みつる)被告(41)=起訴後に懲戒免職=の裁判員裁判の論告求刑公判が2日、福岡地裁(柴田寿宏(としひろ)裁判長)であり、検察側は「現職警察官が家族3人を殺害した、極めて衝撃的で世にもまれな重大事案」と死刑を求刑した。判決は13日。
犯人性に絞った11月18日の「中間論告・弁論」で、被告が犯人であるとする検察側に対し、弁護側は無罪を主張しており、この日は中田被告に科すべき「量刑」について双方が意見を述べた。
検察側は、被告が事件後に普段通りに出勤し、他人の犯行であるかのように振る舞ったとして「無理心中とは全く異質の身勝手かつ自己中心的な犯行」と主張。また、3人が数分間にわたり首を絞められて殺害されていることから「強固な確定的殺意に基づく、冷酷かつ残忍な犯行だ」と非難した。
これら事件の悪質性を踏まえ、事件に計画性が認められない点や、殺害の動機が明確になっていない点が死刑回避の理由にはならないと強調。さらに、事件後に3人の遺体をつなぐようにライターオイルをまいて燃やすなど証拠隠滅を試みたと主張し、遺族の厳しい処罰感情などからも、3人が死亡した他の殺人事件と比較し死刑が相当と結論付けた。
一方、弁護側は仮に被告が犯人だとしても、死刑は回避される事件だと強調した。
弁護側は過去の判例から、殺害への計画性の有無は、死刑かそれ以外かを分ける大きな点であると主張した。その上で、事件後の証拠隠滅行為も場当たり的で計画性はなく、現職警察官が逮捕されたとはいえ「職務犯罪ではなく、被告が権限利用した犯罪とは異なる」と指摘。「死刑にして社会からの永遠の排除とすべき根拠とはならない」と訴えた。【宗岡敬介、一宮俊介】