平安京の葬送地「鳥辺野」墓跡か、複数出土…徒然草や源氏物語にも登場

平安京の葬送地「鳥辺野(とりべの)」があったとされる京都市東山区の一角で、ほぼ出土例のない平安時代後期の墓跡が複数出土したと、民間発掘調査会社「文化財サービス」が9日発表した。
専門家は「墓を計画的に整備していたことがわかる重要な発見」としている。
鳥辺野は平安京周辺にあった墓地の一つ。徒然草や源氏物語に登場し、藤原道長が荼毘(だび)に付されたという。同社は昨年12月~今年8月、約800平方メートルを調査。周囲を溝で区切った方形区画墓3基、木棺墓3基、供養塔「笠塔婆(かさとうば)」の断片など11世紀半ば~12世紀半ば頃の墓跡が出土した。
西側に方形区画墓2基が南北に並び、東側に木棺墓3基が直線上にあった。方形区画墓の一つは9・2メートル四方あり、平安貴族の墓の可能性があるという。石造の笠塔婆は平安時代では初の出土例で国内最古とみられるという。西山良平・京都大名誉教授(日本古代・中世史)は「鳥辺野の詳しい場所や墓の形状はわかっていなかった。規模や形が様々な墓が整然と並ぶ様子が推測される画期的な発見」と話している。