就活セクハラに関するツイートが話題を呼んでいる。その内容は、面接時の「彼氏いるの?」という質問に関するもの。彼氏がいるのか聞く目的は、単にセクハラではなく「企業が望んでいる人材は入社後すぐに産休、育休を取得するような人材ではなく、入社後数年間安定して働いてくれる人材だ」という内容をほのめかしているに過ぎない、と“分析”するものだ。
該当ツイートは12月2日につぶやかれ、12月4日17時時点で1.1万件以上のリツイート、3.9万件の「いいね」がついている。学生有志のネットワーク「SAY(Safe Campus Youth Network)」が就活セクハラに関する記者会見を開催するなど、ここ数日インターネット上ではセクハラに関する話題が盛り上がっている。その文脈でツイートしたものだろう。
セクハラ、パワハラなどの言動は無条件に“悪”だという認識が強い中で、ある意味“逆張り”的な内容から波紋を広げているようだ。ただ、悪だと非難をするだけでは物事は解決しない。そもそもなぜ、こうした質問があったのかを分析することでセクハラ問題解決の糸口が見つかる可能性は大いにあると考えられる。今回のツイートも1つの解釈として、セクハラ質問が後を絶たない背景に、どういったものが潜んでいるのだろうか。
専門家の見解は
しゅふJOB総研所長の川上敬太郎氏に聞いたところ「『彼氏いるの?』という質問はセクハラに当たるし、そもそも面接で聞くべきことではない」とコメント。その一方で「こうした質問をする真意はさまざま考えられる」という。
まず川上氏が挙げたのが、ツイートにもあったような結婚、産育休取得の可能性を探る、というものだ。「もし『取得されたら困る』という意図で質問しているのであれば、その企業の業務構造自体にそもそも問題がある」と川上氏は指摘する。そもそも産育休取得の可能性は新卒社員に限ったものではなく、誰かが休暇を取得しただけで業務に支障が出るのであれば、人員が不足していてマネジメントに問題がある。
また、生産年齢人口も減少しており、子育て層も含めたマネジメントができない企業は、人口動態の変動に対応できない。長期的な視点で経営が破綻する可能性があることも川上氏は指摘した。さらに、今後は男性の育休取得も進んでいくと考えられる。男性側が働きにくさを感じ、人材の定着に悪影響を及ぼす可能性がある。
圧迫面接を狙って?
「彼氏いるの?」質問は、「圧迫面接」として聞いている可能性もある。返答に困るような質問を投げ掛けることで、とっさの対応力や機転を利かせる能力を探る意図が背景にある。
また、営業職の採用であれば「彼氏がいれば女性としての魅力があるという仮説を立て、営業面でプラスに作用する」と浅はかな計算をしている可能性もあるという。他には「(特に古い体質の企業の場合)男性社員の配偶者候補として確認している」「他意はなく、単に場をなごませる」などのケースが挙がった。いずれにしても古い体質がにじみ出る質問であることは間違いがなさそうだ。
川上氏は「『彼氏いるの?』という質問はセクハラの観点からも問題だが、事業運営体制の脆弱(ぜいじゃく)性も露見するものだ」と締めた。「彼氏いるの?」という質問は「セクハラ」として不快な思いを求職者にさせるだけでなく、企業の問題点をも明らかにする、“百害あって一利なし”な質問のようだ。