愛知県蒲郡市の西浦温泉の女性限定旅館「姫宿 花かざし」に、「猫宿 はなはな」がオープンした。女将(おかみ)の渡辺栄子さん(69)が、保護した野良猫12匹を別棟の一室に住まわせ、訪れた客を和ませると評判だ。【大野友嘉子】
かつて飲食店だった約200平方メートルの広々とした空間を猫たちが縦横無尽に走り回る。キャットタワーやこたつが置かれ、12匹は気ままに暮らしている。「人に寄って行く子もいれば、ソファの隙間(すきま)に隠れる子もいる。ありのままの姿の猫を見てもらいたい」と渡辺さん。
きっかけは2年ほど前、従業員出入り口を訪れた野良猫の「はなちゃん」だ。渡辺さんが餌をあげると、3匹の子猫を連れて来るようになった。その子猫が子を産み、12匹に増えた。野良猫を増やしてしまった責任を感じ、渡辺さんは猫たちを保護しようと思った。
動物保護管理センターや獣医師に相談し、猫を受け入れる態勢作りが重要だと知った。飼い猫の寿命は約20年と言われ、「私に何かがあっても猫の世話を続けられるようにする必要がある」と、猫宿の構想を練った。猫を住まわせれば従業員が飼育できる。せっかくなら客にも猫に触れてもらえるようにと、動物取扱業の登録をして「猫カフェ」風の施設にした。
猫をかわいがる客や従業員の姿に目を細めつつ、渡辺さんは安易な気持ちで動物を手なずけたり保護したりしないよう呼びかけている。12匹にかかった費用は、ワクチン接種費や避妊手術代など40万円近く。ワクチンは毎年必要で、今後猫たちが高齢になれば医療費もかさむ。「かわいいだけでは動物の面倒はみられない。相当な覚悟が必要だということを忘れないでほしい」
先月開業し、愛猫を亡くして悲しむ女性や、家庭の事情でペットを飼えない家族連れなど、約500人が猫宿を訪れたという。渡辺さんは「早くも旅館の『看板猫』になってくれたかな。ここで幸せに暮らしてくれたら、うれしい」と話している。
宿泊客は入場無料。ビジターは男性も可で1時間650円(ワンドリンク付き)。