電通、有罪判決後も違法残業 9月に労基署が是正勧告

広告大手・電通の東京本社(東京都港区)で、社員の違法残業などの労働基準法違反と労働安全衛生法違反があったとして、三田労働基準監督署が9月に是正勧告していたことが5日、同社への取材で判明した。法人としての電通は2017年、違法残業を防ぐ措置が不十分だったとして労基法違反の罪で有罪判決を受けたが、その後も適正な労務管理がされていなかった。
電通によると、18年に労基法違反2件、安衛法違反1件があったとして、9月4日付で是正勧告を受けた。
同社の労使協定では、残業時間の上限を原則月45時間、事前申請すれば月75時間に延長できると定めていた。しかし、上限を超す違法残業が4回あり、最長は上限の倍以上の月156時間54分だった。事前申請をせずに延長したケースも6回あった。いずれも営業関連の部署だという。社員の健康や安全の確保を目的に設置する安全衛生委員会の委員選任手続きにも不備があったと指摘を受けた。
電通では10年以降、違法な残業があったとして各地の労基署が本支社に相次いで是正勧告をした。15年12月には新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が自殺し、16年9月に労災が認められた。
電通広報部は「いずれも速やかに解決を図った。19年度は現時点までに違反は発生しておらず、引き続き労働環境改革に注力していく」としている。【矢澤秀範】
電通過労死自殺・高橋まつりさん母「大変衝撃」
電通社員で過労自殺をしたまつりさんの母幸美さんは「今回の労基署からの是正勧告が明るみに出たことは大変衝撃を受けました。36協定違反や過労死ラインをはるかに超える時間外労働を社員が行っていたことに対して大変な怒りと落胆を感じています。しかし、是正勧告の内容については、私は以前から電通の社風や長時間労働は根深いものがあり一朝一夕に変わらないと予想していたので驚きはありません。娘が亡くなった当時のずさんな労務管理や長時間労働は今も無くなっていないと証明されたということです。全ての社員が危機感を持って労働環境の改革に取り組むべきです」などとコメントを発表した。