麻生太郎副総理兼財務相が5月、海上自衛隊の潜水艦に体験搭乗したことを、左派野党と一部メディアが「自衛隊の私物化」などと問題視しているが、おかしくないか。防衛問題研究家の桜林美佐氏が緊急寄稿した。
麻生氏が潜水艦「うずしお」に体験搭乗したことが取り沙汰されている。麻生氏は、自衛隊の最高指揮官、安倍晋三首相を支える副総理であり、国家安全保障会議(NSC)のメンバーでもある。防衛予算を査定する財務省のトップとしての行動であり、不適切であるはずがない。
批判する側は「なぜ、公表しなかったのか」という。ならば、閣僚や国会議員などが視察する場合、すべて公表するという規則をつくるしかないだろう。これまで、同様の視察がすべて公開で行われたのかどうか、私は承知していない。
隊員には休日出勤で、燃料費もかかるといっても、もとより自衛官は土日であれ活動している。陸海空自衛隊のイベントは土日や祝日に開催されることが多い。
麻生氏が、海上自衛隊の装備に関心を持たれていることは否定できないと思うが、だからといって今回の視察が責められる類とは考え難い。自衛隊側も「自分たちの活動を知ってもらえる」と考えているはずだ。
潜水艦は、わが国の防衛にとって最重要といっていい装備だ。昨今の安全保障環境を見据え、増隻が決定されている。しかし、乗員はそう簡単に育つものではなく、人員不足の過酷な時代の真っただ中にいる。
「他の余剰人員を充てられないのか」という人もいるが、潜水艦に乗り組むには高度なスキルと知識が必用とされる。任務に出れば行動は秘匿され、万が一、故障しても自分たちで修理して帰港する必要があるのだ。
家族や恋人にも行き先や期間を告げられず、当然、電話もメールもできない。希望者を獲得することが非常に困難になっている。重要閣僚が活動の姿を見てくれることは、隊員にとって士気向上の一助になったのではないかと想像する。
米国では感謝祭に、ドナルド・トランプ大統領がアフガニスタンを、マイク・ペンス副大統領がイラクを訪問し、自国兵士たちに食事を配布したり激励をしている。体験航海とは質が違うが、現場は大いに盛り上がる。
最後に申し上げておきたいのは、麻生氏には今後、海自だけでなく航空自衛隊と陸上自衛隊にも視察に行っていただきたいということだ。