取引先の社長から受けたストレスなどが原因で営業担当の会社員男性(当時47歳)が急死したのに労災と認めないのは違法として男性の妻(大分市)が国を相手取り、労災補償の不支給決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁(阿部正幸裁判長)は5日、労災と認めた1審・福岡地裁判決を取り消し、妻の請求を棄却する判決を言い渡した。
高裁判決によると、男性は愛媛県内の薬品会社営業所に勤務していた2014年2月、営業車内で意識不明となり、急性心不全で死亡。妻は労災補償を請求したが、宇和島労働基準監督署は不支給を決定した。
今年6月の地裁判決は、死亡前6か月間の時間外労働時間は月平均約70時間で国の認定基準(月約80時間)を下回るが、取引先の社長からの
叱責
( しっせき ) などで「精神的緊張は相当大きかった」として労災と認め、不支給決定を取り消した。
これに対し、高裁判決は「営業担当が取引先の要求に応え、信頼を損ねないように行動するのは特異なことではない」と指摘。精神的緊張が著しかったとは認めがたいとして、業務と死亡との因果関係を否定した。