夜汽車の旅にわくわく--「えちごトキ鉄」初の夜行列車チケット、1分で完売

「えちごトキめき鉄道」が、年の瀬に沿線を一晩中走る「冬休み親子夜行列車体験号」を28~29日に運行する。同社の夜行列車の運行は初めてで、5日からチケットの申し込みをインターネットで始めたところ、わずか1分で完売した。
JRのブルートレインが相次いで廃止される中、夜汽車の魅力はいまだに健在で、同社はうれしい悲鳴を上げている。
年配者には夜汽車の懐かしさを、子どもや若者には鉄道旅行の新たな魅力を体験してもらおうと企画した。
ルートは直江津を28日午後10時ごろ発車。妙高はねうまラインの妙高高原を折り返し、直江津を経由して日本海ひすいラインの市振(新潟県糸魚川市)を経由して直江津に翌29日午前5時40分ごろ戻り、同7時ごろ解散するツアー。車両は普段は貸し切り列車として使っているディーゼルカー、ET122系「3市の花号」と「日本海号」の2両を連結する。
座席はすべてテーブル付きのボックス席で、親子やカップルが向かい合って一晩、列車内で過ごせるのが魅力だ。料金は1ボックスで1万8000円(2人まで朝食・お土産つき)で、朝食には幻の駅弁を復活させて提供するという。
同社は2日にホームページでこの企画を発表。5日正午からメール限定で先着順で募集したところ、定員の20ボックス(40席)が1分で完売した。石黒孝良営業部長は「うれしいの一言。今後も知恵を絞って、サービスを充実させていきたい」と話した。
同社は9月、ローカル鉄道再生のカリスマとして知られる元いすみ鉄道社長の鳥塚亮氏が社長に就任。鳥塚氏は今夏、津軽鉄道(青森県)にも夜汽車を走らせるよう提案して実現させた経験がある。今回も鳥塚氏と社員がアイデアを出す中で実現したという。
鳥塚氏はブログで「私たちが昭和の頃に経験した夜行列車の思い出を、これからの皆様方にも経験していただくことで、鉄道の旅の良さを後世につないでいこうと考えております」と記している。【浅見茂晴】