鈴木智彦【激震!山口組抗争の結末】(中)
山健組事務所前で2人を射殺された後、立て続けに襲撃を受け、ついに自動小銃で幹部を殺害された神戸山口組。報復するのか? という問いかけは愚問だ。
静観すれば組織の亀裂が大きくなり、壊れたダムのように決壊する。漏水を止めるには6代目側の組員なり幹部を殺害するしかない。
殺し合いに順序などないが、神戸側のターンであることは間違いない。いつやるのか? 可能な限りすぐ、だ。双方、もはやヒットマンは地下に潜っているだろう。
「狙う方が強いとはいっても、現代暴力団は抗争中に飲み歩いて蛮勇をアピールするようなバカはしない。簡単には殺せない。現実は何事であれ思った通りに進まないが、ヒットマンという仕事は納期も成果も決められず、いつ襲撃のチャンスが訪れるか、実行しても成功するのか予想できない」(警察関係者)
高山清司若頭の出所と前後して頻発した6代目山口組の攻撃は、警備の手薄な人間、言い換えれば殺しやすい相手を狙ってきた。抗争事件が生み出す暴力イメージは、殺した相手の立場の上下に加え、どれだけ迅速に報復したかで増大する。昭和のヒットマンは親分の葬儀すら欠席してすぐに飛んだほどで、電光石火の連続攻撃は神戸山口組のメンツをいたく傷つけたろう。
しかし、抗争事件での殺人が厳罰化され、1人殺して無期懲役が相場となったため、今は殺しのカードが何度も切れない。経済的・人的犠牲が出るのはもちろん、殺人には時効がないため、組織は事件を起こすたび、新しい爆弾を抱えるに等しい。実行犯が不満を持ち、上層部の関与を話し始めたら、たとえ捏造でも逮捕されかねない。「誰でもいいから殺れ」というわけにはいかない。
報復で末端の組員を殺した程度では到底釣り合わないため、神戸山口組は最低でも6代目山口組を支配する弘道会、もしくは弘道会と関係が深い白いバッジ(プラチナ製の代紋バッジは幹部の隠語)を狙ってくるだろう。しかし、厳重にガードされると容易には殺せない。加えてヒットマンには獄死を覚悟してもらわねばならない。組員たちは報われないヒットマンの末路を見てきている。
「もはや刑務所から二度と出てこられない。10年後、組織やヤクザそのものが消滅しているかもしれない」(指定暴力団幹部)
未来のない役目だけに、逮捕されたヒットマンにも、高齢者や破門者ら訳ありが目立つ。山健組の2人を殺した実行犯は高齢の上、体がボロボロで「裁判の結審まで生きられるか分からない」(地元メディア記者)という。
仕事が報われない業界に、有能な人材は流れてこない。訳ありヒットマンは今後も増え続けるだろう。 =つづく
(鈴木智彦/カメラマン・ライター)