栃木「災害少ない」って知っていた? イメージ調査、県外では「わからない」最多3割

栃木県民の6割以上が挙げる「災害が少ない」という県の良さが、県外ではわずか4・4%の人にしか伝わっていない――。こんな乖離(かいり)が、県が今年行ったイメージ調査で浮き彫りになった。それどころか県外の人は3割以上が県のイメージを「分からない、特にない」としており、ブランド戦略が課題となっている。【林田七恵】
栃木県は1~2月、県内に住む18歳以上の5000人と他県民に県のイメージを調査。県内は郵送で2807人から、県外では3000人からインターネット上で回答を得た。
20個の選択肢から県のイメージに当てはまる描写を三つ選んでもらったところ、県内で最も回答が多かったのは「災害が少ない」で63・3%。「自然環境に恵まれている」50・1%、「歴史と文化がある」27・3%、「おいしい食べ物が豊富」24・2%、「生活しやすい、便利」23・5%と続いた。
ところが県外の回答で最多は「分からない、特にない」の34・8%。県民が真っ先に挙げた「災害が少ない」は4・4%で、「生活しやすい、便利」も1・9%にとどまった。
1990年代に首都機能移転が議論された際、国の審議会は栃木県などを「地震に対する安全性も高く、東京圏に大規模地震が発生した場合、応急体制を早期に確立するには現実的な地域」と評価したが、移転論はその後たなざらしに。県は移住者や企業を誘致するホームページなどで「比較的災害が少ない」とうたっているが、5日の県議会で浸透不足が報告され、「PRが足りない」などの苦言が議員から相次いだ。
県が人の流れや仕事を作るために定めた総合戦略は最終年度に入っており、県は次期戦略や長期計画を作るため県民やまちづくりの専門家らに居住や進学、就職に関する意向や人口減対策への意見を求めている。
こうした調査では生活面の課題も浮上している。県内の高校生1200人を対象とした調査(6月)では、46%が重点的に取り組むべき施策に「電車やバスなどの公共交通機関の充実」を選択。自由記述でもバスや電車の増便などを求める声が目立った。25市町長への郵送調査(同)でも、公共交通の維持・確保に向けた地域間連携の要望が多かったという。