昨年の西日本豪雨の被災者の心を癒やそうと岡山県倉敷市真備町地区でクリニカルアート(臨床美術)のワークショップを続けていた「クリニカルアートまびの会」が6日を最後に活動に区切りをつけた。同会副代表の辻香乃さん(58)=神戸市=は「皆さんが楽しみ、自信をつけて帰って行けるような場になったのでは」と語った。
クリニカルアートは、芸術的な創作活動やコミュニケーションを通じて心のケアをする療法。兵庫県のクリニックでクリニカルアートを実践する辻さんが活動を呼びかけ、岡山県内外の臨床美術士8人で昨年12月、クリニカルアートまびの会を立ち上げて月1回、同地区でワークショップを開いてきた。
扱いやすい画材で楽しめるようにプログラムを組み、会の最後には作品を発表し合い、認め合う場を設けた。墨汁を色紙に垂らしたり透明なプレートの上に粘土で形作ったりした。初めのうちは「私はできん」と言っていたお年寄りも回数を重ねるうちに作品を誇らしげに見せるようになっていった。
今年7月には幼い子と親を対象にしたワークショップも始めた。仮設住宅に入った母親たちが、近所に気を使いながらコミュニティーを築けず孤立しがちだと聞き、子どもと一緒に同じ立場の親たちが集まれる場所にした。アートを作りながらちょっとした困りごとやしんどさを分かち合った。最初は2、3組だったが、口コミで広がり、最終日の今月6日には15組31人が参加した。
まびの会としての活動は、当初から決めていた通り1年で終わったが、今後も地元の保健師たちが中心になって活動を継承していきたい考えだ。
7日からは、倉敷市阿知1の天満屋倉敷店で作品展示会が開かれた。同地区に何度かボランティアに入ったという公務員の女性(51)は「真備の様子が気になっていたが、こういった作品を作ろうと思えるようになったのですね。ほっとします」と話した。作品展は24日まで。【林田奈々】