「東名あおり運転」驚きの差し戻し判決…量刑はどうなるのか

驚きの差し戻し判決だった。神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、あおり運転を受けた夫婦が死亡した事故で自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた石橋和歩(かずほ)被告(27)の控訴審判決で、東京高裁は、訴訟手続きに違法な点があったとして、懲役18年とした1審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、地裁に審理を差し戻した。やり直し裁判で量刑は変わるのか。
「前進ではなく後退。いつまでも刑が決まらず、歯がゆい。早く、あの子たちにいい結果を報告したい」。あおり運転事故で亡くなった静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)の母、文子さん(79)は、こう語った。
事故は17年6月5日夜に発生した。石橋被告は、萩山さん一家のワゴン車にあおり運転を繰り返し、ワゴン車の前で停車。停止したワゴン車に後続の大型トラックが追突し、萩山さんと妻の友香さん=当時(39)=が死亡した。
裁判では、危険運転致死傷罪が停車後の事故に適用できるかどうかが争点となった。高裁の朝山芳史裁判長は、あおり運転との因果関係を認めた1審判断に誤りはないとして同罪の成立を認めた。一方、横浜地裁が公判前整理手続きで「危険運転致死傷罪は成立しない」との見解を表明したのに、変更して成立を認めたのは「判決に影響を及ぼす違法な手続きだった」と批判した。
検察、弁護側双方が受け入れた場合、裁判員裁判がやり直される。
弁護士の高橋裕樹氏は「新たな審理では、夫婦の車に追突したトラック運転手の過失の有無に焦点が当たるのではないか。過失の度合いによっては、石橋被告に危険運転致死傷罪の部分では減刑や無罪の判断が下される可能性もある。そうなっても、予備的訴因の監禁致死傷罪(最高刑懲役20年)で新たな審理が行われる。ただ、1審から量刑が重くなることは考えにくい」と語った。
被害者の無念を晴らす司法判断を下してほしい。