中村哲さん遺体が福岡に帰る 出迎えのアフガン人「あなたはヒーロー」の横断幕

福岡市のNGO「ペシャワール会」現地代表で医師の中村哲さん(73)の遺体を乗せた旅客機は9日午前、羽田空港から福岡空港に到着し、妻尚子さん(66)と長女秋子さん(39)らと共に古里に戻った。中村さんの遺体はアフガニスタンの首都カブールからアラブ首長国連邦のドバイを経由し、8日夕、成田空港に帰国、同日中に羽田空港に移動していた。
福岡空港で記者会見したペシャワール会の村上優(まさる)会長(70)は「中村先生が亡くなられた喪失感が圧倒的で、悲しいの一言に尽きる」と声を詰まらせた。その上で「中村先生が実践してきたすべての事業を継続し、彼が望んだすべてを引き継ぐ」と述べ、会としてアフガニスタンでの人道支援活動を今後も続ける考えを改めて強調した。
一方、空港展望デッキには中村さんの写真や花束を手にした九州在住のアフガニスタン人ら約40人が集まり、遺体を出迎えた。中村さんが造った用水路や作業風景の写真が張り付けられた横断幕には「守れなくて申し訳ない」「あなたは私たちのヒーローです」といったメッセージも書かれていた。佐賀県多久市のハジール・ジハンさん(46)は「私たちも心が苦しいと伝えたくて声をかけた。中村さんを殺した人は人間ではない。(中村さん)ごめんなさい」と悲しんだ。
国内在住のアフガニスタン人は、成田空港に遺体が到着した8日も約60人が同空港ロビーに集まった。日本に住んで約20年になる茨城県坂東市の自動車関連業、メンザイ・サレ・ムハマドさん(48)は「先生のおかげで多くのアフガン人が助けられた。先生みたいな人はいない」と感謝の思いを繰り返した。
成田空港の駐機場でひつぎに黙とうをささげたバシール・モハバット駐日大使は取材に「守れなくて、こういう結果になって残念で、お悔やみ申し上げます。アフガン人はみんな中村先生のことを愛していたのでみんな泣いている。アフガン人それぞれの心に英雄として永遠に残るでしょう」と話した。
遺体は福岡県警大牟田署に移送され、10日に久留米大で司法解剖される予定。11日に福岡市中央区で合同葬が開かれる。【石井尚、中村宰和】