吉野さん「社外が認める研究者に」=部下への助言体現―今夜ノーベル賞授賞式

【ストックホルム時事】今年のノーベル化学賞を受ける吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)は10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムで開かれる授賞式に臨む。「社外に認められる研究者になれ」。かつて薫陶を受けた元部下らも授賞式に出席し、吉野さんの晴れ舞台を見守るという。
ストックホルム入りした吉野さんは6日、孫娘の手を引き市内を散策し、表情を緩ませた。そうした姿を見た元部下の松岡直樹さん(43)は「上司としての吉野さんとだいぶイメージが違う」と驚きを隠さなかった。
最近の吉野さんは「変革は30年周期で起きる」と将来の需要を予測しながら、周到に研究を進める印象が強い。厳しさに加え、スマートさが加わったように映る。
「とにかく絶対できるはずとの執念で前に進んでいく」。元部下の津端敏男さん(55)は切り口を変えて困難を乗り越える姿に感銘を受けてきた。「社内ではなく、社外に認められる研究者になれ」との教えを忘れたことはない。
研究一辺倒ではなく、家族思いの一面もあった。約25年前、研究方針などをめぐる議論が深夜まで続いた際、吉野さんは「俺の門限は朝5時だ」と口にしたという。必ず朝食は家族そろって食べていたといい、津端さんは「あの頃から家族を大切にしていたんだな」と改めて感じた。
若い頃の吉野さんは、酒を飲みながら夜遅くまで議論を交わしても、翌朝は普段通り出勤し、「本当にタフだった」と津端さん。現在もテニスを楽しみ、松岡さんがかばんを持とうとすると、「年寄り扱いするな」と断ったという。