アフガニスタンで殺害された中村哲さん(73)の告別式に際し、長男・健さんが発表したコメント全文は次の通り。
父をご支援頂いた皆様へ
この度の父・中村哲の訃報に際し、親族を代表いたしまして、皆様へご挨拶(あいさつ)をさせていただきたく存じます。私は故人の長男で健と申します。
最初に申し上げたいのは、父を守るために亡くなられたアフガニスタンの運転手の方・警備の方そして残されたご家族・ご親族の方々への追悼の想いです。申し訳ない気持ちでいっぱいです。悔やんでも悔やみきれません。父ももし今この場にいたらきっとそのように思っているはずです。家族を代表し心よりお悔やみを申し上げます。
私たち家族は今回の訃報に大きなショックと深い悲しみに苛(さいな)まれました。しかし、多くの方々がともに悲しんで下さり、私たち家族へ多くの激励の言葉をかけて下さっています。本当に救われています。
上皇様ご夫妻からのご弔意の賜りをはじめ、いつもそばで父を支えてともに活動して下さり、これからも継続の意向を示してくださっているペシャワール会の皆様、アフガニスタン国での父の活動に賛同しご支援をいただいている大統領をはじめ政府関係の皆様、同じくアフガニスタン国の大変な環境にある作業現場の中で父とともに活動をしていただいているアフガニスタン国の国民の皆様、父の活動にご賛同いただきご支援をいただいている日本の皆様、そして今回の訃報から父を遠い異国に迎えに行くにあたり早急にそして最短の移動スケジュールでいけるようにご配慮していただき、宿泊先まで手配していただいた外務省・大使館・政府関係の職員の皆様、どんなに感謝しても足りません。父が今までもそして命がなくなってもなおアフガニスタンで活動ができるのも偏(ひとえ)に皆様のご賛同・ご協力のおかげとしかいえません。
また今回の事件で警察、航空会社、葬儀会社、保険会社に関わる皆様にはいつも私たち家族の気持ち・立場に立っていただいています。そして24時間、どんな時でも真摯(しんし)な対応をしていただいています。私たち家族は、皆様のおかげで不安・悲しみの気持ちから本当に守られています。感謝しています。
生前、父は山、川、植物、昆虫、動物をこの上なく愛する人でした。家ではいつも庭の手入れをしていました。私が子供の頃はよく一緒に山登りに連れていってもらいました。遊びに行くときは「できればみんなで行こうよ」、「みんなで行った方が楽しいよ」ということを言っていました。みんなと楽しみたいという考えの人でした。
また父がアフガニスタンへ旅立つとき、私と2人きりで話す場面ではいつも「お母さんをよろしく」「家をたのんだ」「まあ何でも一生懸命やったらいいよ」と言っていました。その言葉に、父の家族への気遣い・思いを感じていました。
今、思い返すと、父自身も余裕がない時もきっとあったはずです。いつも頭のどこかで家族のことを思ってくれている父でした。父の、自分のことよりも人を思う性格・どんなときも本質をみるという考えから出ていた言葉だったと思います。その言葉どおり背中でみせてくれていました。
私自身が父から学んだことは、家族はもちろん人の思いを大切にすること、物事において本当に必要なことを見極めること、そして必要なことは一生懸命行うということです。この先の人生において自分が幾つになっても父から学んだことをいつも心に残し、生きていきたいと思います。
最後に親族を代表致しまして皆々様からの父と私たち家族へのご厚情に深く感謝いたします。
親族代表 故人・長男 中村健