甘い思い出ぎゅっと詰めて 福島の小6、卒業証書用和紙作り

東京電力福島第1原発事故で一時全町避難した福島県広野町の町立広野小学校で11日、6年生32人が卒業証書に使う和紙の手すきに挑戦した。特産化を目指す町産バナナの茎の繊維を混ぜた材料を使用。児童は1人ずつ真剣な表情で網にすくい取り、水を切る作業をした。
400年以上の歴史があるいわき市遠野地区の「遠野和紙」を継承する地域おこし協力隊の平山祐さん(37)ら3人が指導。遠野産のコウゾに町産バナナの茎の粉末などを加えた。通常の遠野和紙に比べ、黄色の色合いや香りが加わるという。
同校は原発事故でいわきに避難し、約1年半後に町内で再開。現在の6年生は入学時10人あまりだったが、町民の帰還が進むに連れて人数が増えた。2年から戻った大和田彩羽(いろは)さん(12)は「最初は人見知りもしたけど、元気な子が多くて仲良くなれた」と振り返る。紙すきも根気強くこなし、「地元産バナナは甘くて親近感が持てる。卒業証書は一生残る。甘い香りがして地元を思い出せるものになったらうれしい」と話した。
町産バナナ「綺麗(きれい)」は今夏から収穫が始まった。アフリカ産バナナの茎を使ったフェアトレード(公正貿易)製品として知られる「バナナペーパー」にならい、栽培する町振興公社や流通大手イオンが、遠野和紙などの県内事業者と連携して紙製品の開発も進める。【乾達】