東京都練馬区の自宅で今年6月、当時44歳の同居の長男を刺殺したとして殺人罪に問われた元農林水産事務次官の熊沢英昭被告(76)に対し、検察側は13日、東京地裁(中山大行裁判長)で開かれた裁判員裁判で懲役8年を求刑した。判決は16日に言い渡される。
検察側は論告で、自首が成立していることなどを考慮しつつ、「手加減せず攻撃しており、態様は悪質」と述べた。
検察側の主張によると、長男英一郎さんは中学時代から、いじめに遭い、家族に暴力を振るうようになった。大学進学後に家を出たが、2008年から無職になり、熊沢家の別邸でゲームをして過ごしていた。体調不良を訴えて今年5月25日に実家に戻ったが、翌26日、被告からゴミの処分の話を切り出されて激高し、被告に激しい暴行を加えたという。
この出来事をきっかけに、夫婦は2階で、英一郎さんは1階で生活を開始。検察側は、被告が「どこかで死に場所を探します。英一郎も散骨してください」などと書かれた手紙を妻に渡し、パソコンで「殺人罪」「量刑」などと検索するようになり、6月1日午後に包丁で英一郎さんの首などを多数回突き刺し、失血死させたとしている。
起訴内容に争いはなく、量刑が最大の争点となっている。弁護側は、「殺すぞ」と英一郎さんにすごまれ、とっさに事件を起こしたと主張しており、「事件を起こさざるを得ないと被告が思った根拠は何かに着目してほしい」などと裁判員らに訴えていた。【田中理知、巽賢司】