体外受精してできた受精卵の「凍結胚」を紛失され精神的苦痛を受けたとして、北海道の40代男性と50代女性の夫婦が、不妊治療を受けていた北海道大学病院(札幌市)に慰謝料など約1000万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こした。
訴状や代理人弁護士によると、夫婦は2006年ごろから治療を始め、07年までに六つの受精卵を同病院に冷凍保存した。08年に病院側が凍結胚を使用した際、三つの胚を紛失したが、夫婦には10年になってから「誤って廃棄した」と説明した。
夫婦は廃棄の原因について説明するよう病院側に求めたが、具体的な説明はなかったという。
代理人弁護士は「子どもを授かることを希望した夫婦の苦痛は計り知れない」と指摘。病院は「訴状が届いていないためコメントできない」としている。