就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京都千代田区)が就職活動中の学生の「内定辞退率」を予測し、データを企業に販売していた問題で、厚生労働省は13日、データを利用したリクルートキャリアを含む企業38社に対し、職業安定法やその指針に基づき同日中に行政指導を終えた。同時に、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の3団体に採用活動の際に個人情報を適切に取り扱うよう要請した。加藤勝信厚労相が閣議後の記者会見で明らかにした。
リクルートキャリアは、リクナビの閲覧履歴などから学生の内定辞退率を人工知能(AI)で予測し、算出したデータを契約企業に提供。一方、企業側は事前に採用活動などで募集した学生の個人情報を、本人に十分な説明をせずにリクナビ側に渡していた。
職安法の指針は、企業に個人情報保護法の順守や、個人情報を適切に保管・使用するよう定めている。厚労省は今年9月にデータ販売元のリクルートキャリアを職安法やその指針に基づき行政指導し、業務改善や再発防止策などを求めた。
さらに厚労省は、データ提供を受けた38社の調査を実施。同法の指針では、個人情報を使用する場合は目的を示して同意を得ることを規定している。しかし、内定辞退率分析のために使う点などを学生側に十分に周知しなかった点などを問題視し、東京や愛知など8労働局を通じて11日以降、順次指導をした。
厚労省は今回明らかにした38社の企業名を公表していないが、トヨタ自動車やJFEスチール、親会社のリクルートが含まれていることが分かっている。
一連の問題を巡っては個人情報保護委員会が4日、自らデータを利用していたリクルートキャリアを除く37社にも個人データを扱う際の対応が不適切だったとして個人情報保護法に基づき指導している。【梅田啓祐】