岩手県釜石市鵜住居町に今月完成した市民体育館で14日、プロバスケットボールBリーグ3部(B3)の岩手ビッグブルズと金沢武士団によるこけら落としの試合があった。約1100人の観客の熱い声援に応えて、ビッグブルズが108―68で快勝した。【藤井朋子】
旧体育館は内陸部の桜木町にあったが、東日本大震災の揺れで大きく壊れ解体された。新体育館は、三陸鉄道・鵜住居駅前の公共施設「うのすまい・トモス」に24億7000万円かけて整備された。観客席が776席(床面積約3547平方メートル)ある。
鵜住居町では今秋、東北で唯一ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の試合が行われ、市全体が沸いた。「スポーツで盛り上がった復興のともしびを消したくない」という市と、ビッグブルズの思いが一致し、こけら落としのゲーム開催が決まった。
ビッグブルズは「復興のシンボルになる」を理念として活動。選手たちは、試合のない日は毎日のようにバスケットボール教室で子どもたちと触れ合う。昨年からは、沿岸の幼稚園などを回って震災の実話を基にした絵本の読み聞かせも始めた。台風19号の影響で県内でも大きな被害が出た後は、選手から「ボランティアをしたい」と声が上がり、久慈市で、でこぼこになった道路を修復するなどした。
「地域に勇気を与えられるようなチームに」。その思いがさらに強まったのは昨年11月のこと。陸前高田市での試合終了後、観客を見送っていた水野哲志社長(35)に小学校高学年ぐらいの男児が声を掛けた。「震災後、今日が一番楽しかった」。翌日、選手に伝えると、強いまなざしで聴き入ったという。
今シーズン初の100点ゲームで釜石に元気を運んだこの日、釜石市出身の沢口誠選手(28)は「勝ててほっとしている。市内にラグビーやバスケットをする場所ができたので、子どもたちにはどんどんスポーツに関わってほしい」と期待した。